コラム
2021年11月29日
開業医になるならコンサルタント選びは大事!失敗しないためのポイントとは
目次
クリニック開業のための物件マッチングプラットフォーム「医院開業バンク」編集部です。
医院・クリニックの開業を検討している人の中には、「開業コンサルタントに開業準備をサポートしてもらいたい」と考えている人も多いのではないでしょうか。開業コンサルタントと一言でいっても、「医院開業・経営専門コンサルタント」「医療機器・製薬・医薬品卸系コンサルタント」など、その種類はさまざまです。また、それぞれに特徴があり、依頼するメリット・デメリットがあるため、まずは自身のニーズを明確化した上で、それに合ったコンサルタントを選ぶ必要があります。今回は、医院・クリニック開業コンサルタントの種類、コンサルタント選びのポイントについて解説します。
医院・クリニック開業コンサルタントとは
「医院・クリニック開業コンサルタント」とは、医師が開業するに当たって行うべきさまざまなステップについて、提案・アドバイスなどのサポートを行ってくれる人のことです。例えば、開業に当たっては、まず開業コンセプトを決める必要があります。開業コンセプトとは、「どのようなクリニックにするのか」という特徴を明確化するものであり、その後の事業計画全体に影響を及ぼすものです。この開業の根幹となる開業コンセプトを決める際、開業に精通した開業コンサルタントに相談することで、より良い医院・クリニックづくりを目指すことができるでしょう。
特に、開業において時間のかかる工程は、事業計画書策定、開業地選定、資金調達の3つです。事業計画書については、開業コンサルタントの経験に基づいた現実性のある策定のサポートを受けることができるでしょう。また、開業地選定においては、開業コンサルタントから診療圏調査、将来性の分析についてのアドバイスを受けることができます。資金調達では、開業コンサルタントが状況に合った最適な調達方法や調達先を提案してくれるでしょう。
その他、内装設計や医療機器の決定など、全てのステップを一括で請け負ってくれる開業コンサルタントもいるため、自身の状況に合わせてうまく活用することが大切です。
開業コンサルタントを活用するメリットは、以下の通りです。
- 開業が予定通りスムーズに進む
- 各種手続きなどの代行を依頼できる
- 勤務医として働きながら業務を依頼できる
開業コンサルタントには独自のノウハウがあるため、依頼することで、全て自身で行うよりも開業までの時間を短縮でき、スケジュール通りに進めることができるでしょう。また、煩雑な行政手続きなどの代行についても頼めるため、申請漏れなどを防ぐことができます。さらには、勤務医として多忙な毎日を過ごしていた場合においても業務を依頼できるため、並行して開業に向けての準備を進めることができるでしょう。
医院開業コンサルタントの種類はさまざま
開業コンサルタントと一言でいっても、その種類は以下のようにさまざま挙げられます。
- 医院開業・経営専門コンサルタント
- 医療機器・製薬・医薬品卸系コンサルタント
- 会計(税理士)・行政書士・社会保険労務士事務所系コンサルタント
- ハウスメーカーなどの建築系コンサルタント
- 調剤薬局チェーン・医療モール企画運営会社
これらの中でも、大きく分けて有料の開業コンサルティング会社と無料の開業コンサルティング会社があります。
有料の開業コンサルティング会社は、一般的にコンサルティング業務を専門に行っているため、依頼すると料金が発生し、その料金がコンサルタントの収益源となります。相場としては、1開業当たり100万~200万円程度といわれています。大きな特徴としては、開業に当たって全体のプロジェクトマネージャーとしての指揮を執ってもらえる点です。また、内装工事、医療機器の購入においての価格交渉なども行ってもらえます。有力な開業コンサルティング会社だと、開業関連の企業に顔が利き、信頼できる業者を紹介してくれたり、市場に出回っていない情報を提供してくれたりします。
無料の開業コンサルティング会社は、医療機器メーカー、ハウスメーカーなどといった本業のある企業が、本業と兼業しながら開業の専門部署としてコンサルティング業務を行っているものです。医療機器導入などの付帯サービスとしてコンサルタントがサポートを行うため、依頼しても料金は発生しません。無料で相談できる点は大きなメリットですが、その会社が本業とするカテゴリにおいて必ず発注することが暗黙の了解となります。また、会社や担当者によっては、有料の開業コンサルティング会社と比較すると、開業の知識やコンサルタントのスキルが劣るといったケースもあります。
医院開業・経営専門コンサルタント
「医院開業・経営専門コンサルタント」は、医院・クリニックの開業、経営に特化したコンサルタントのことです。開業、経営に熟知しているため、開業準備における全ての工程を丁寧にサポートしてくれます。医院・クリニックの開業案件を専門とする開業コンサルティング会社がサポートしてくれる場合や、医院経営に精通した会計事務所などがアドバイスをしてくれる場合などがあります。医院開業・経営専門コンサルタントに依頼する場合は、有料となります。大小さまざまな規模の会社、個人のコンサルタントが存在し、それぞれ料金も大きく異なります。
勤務医として働きながら開業準備を進めたい場合や、自身で開業準備を全て行うことに不安がある場合は、医院開業・経営専門コンサルタントを利用すると良いでしょう。
医療機器・製薬・医薬品卸系コンサルタント
「医療機器・製薬・医薬品卸系コンサルタント」は、メーカーの専門部署に所属しており、基本的には無料でコンサルティングを行います。ただし、開業に当たり、そのメーカーの医療機器・医薬品などを発注することが必須となります。医療機器・製薬・医薬品卸系コンサルタントは、その他の医療機関にも出入りしているため、さまざまな情報を持っていることが大きなメリットであるといえるでしょう。また、勤務医時代に付き合いのあるメーカーであれば気軽に頼みやすい点もメリットでありますが、あくまで本業の付帯サービスであるため、開業のみに特化したコンサルタントと比較すると、知識やノウハウを持っていない場合もあります。そういったことからも、基本的に手厚いサポートは期待できないといえるでしょう。また、開業後の支援サービスについては行っていないところがほとんどです。
それゆえ、勤務医時代に親しくしているメーカーがあって、「そのメーカーの医療機器・医薬品を発注したい場合、その付帯サービスを利用する」といったくらいの気持ちでいると良いでしょう。また、耳鼻科、眼科などといった特定の診療科で開業する場合は、独自のノウハウを持っていることが多いため、自身の診療科に合わせて利用を検討すると良いでしょう。
会計(税理士)・行政書士・社会保険労務士事務所系コンサルタント
会計(税理士)・行政書士・社会保険労務士事務所など「士業系のコンサルタント」は、顧問先に医療機関が多く、専門性の高い事務所が行っています。会計事務所などにコンサルティングを依頼する場合は無料ですが、開業後の顧問契約が前提となっています。開業後の労務、税務、法務について、専門家に全て一任できるところは大きな魅力ですが、別々の事務所に依頼すると連携が図れず、開業に支障が出てしまうこともあるため、注意が必要です。例えば、弁護士ドットコム株式会社など複数の士業(弁護士・税理士など)の専門職の紹介を行っている会社を利用するのも一つの選択肢となります。
また、集客のための広告・宣伝については、サポートをほとんど受けられないことが多いため、依頼前にサポート内容をしっかりと確認しておくことが大切です。士業系のコンサルタントは、開業後に発生するさまざまな業務を見据えた上で、開業準備を行いたい場合に利用すると良いでしょう。
ハウスメーカーなどの建築系コンサルタント
「ハウスメーカーなどの建築系コンサルタント」は、医療施設の設計・建築に力を入れているハウスメーカー、設計事務所、不動産会社が展開するコンサルティングサービスです。特徴としては、交通量の多い幹線道路沿いなどにおいての医院・クリニック開業に強いといった点でしょう。サポート内容としては、開業時の物件の紹介、建築施工などです。施工日程に沿って、しっかりとスケジュールを立ててくれるなどのサービスは、基本的に無料です。
ただし、建物が完成した段階でサポートが終わることも多いため、開業後の支援を望むことはできません。また、設計や建物が優先となるため、医院・クリニックの採算性については、優先順位が低くなるでしょう。そのため、まずは医院開業コンサルタントに依頼した上で、さらに物件や施工に力を入れたい場合に利用することをおすすめします。
調剤薬局チェーン・医療モール企画運営会社
「調剤薬局チェーンによる開業コンサルティング」は、自社の店舗数拡大を目的とした開業支援です。医療モールに開業する場合は、医療モール企画運営会社の支援を受けることができます。開業準備に必要な専門会社を紹介してくれるとともに、開業後の集客は自社の利益に直結するため、開業後もしっかりサポートを行ってくれる点が特徴です。コンサルティングサービスは、基本的に無料ですが、専門性の低い人が担当者となる可能性があることも視野に入れておきましょう。医療モールでの開業を決めている場合や、大手調剤薬局チェーン店と連携する場合などに利用すると良いでしょう。
開業医になりたいときのコンサルタント選びが大切な理由
医院・クリニックを開業するに当たって、コンサルタント選びは非常に重要です。「コンサルタント」と名乗っていても、中には十分な経験・実績のないケースや、料金だけが高額でサポート内容が充実していないケースもあるでしょう。しっかりとしたサポートを受けられなければ、開業準備がスムーズに進まず、予定していた開業時期が遅れることもあるため、注意が必要です。
また、コンサルタントが提供しているサービス範囲が自身の求めているものと異なるケースもあります。「開業準備だけではなく、開業後もサポートを受けられる」と思って依頼しても、開業と同時に支援が終わってしまうようなこともあるでしょう。例えば、ハウスメーカーなど建築系コンサルタントのサービス内容は、あくまでも物件の紹介と施工に限られます。そういったことからも、まずは開業においてどこまでの範囲をサポートしてほしいのか、自身でしっかりと決めた上で、ニーズに合ったコンサルタントを探す必要があるでしょう。
コンサルタントと医師は、あくまでも「人対人」の関係です。コンサルタントとの相性が合わず、コミュニケーションや連携が取れないことで開業が思うように進まないケースも考えられます。コンサルタントは、料金やサポート内容だけで決めず、人間性までしっかりと判断した上で選ぶことが大切であるといえるでしょう。
医院開業コンサルタント選びのポイント
医院開業コンサルタント選びのポイントとしては、以下のようなものが挙げられます。
- コンサルタントの種類と特性を把握する
- 自身のニーズに合っているかどうかを事前に確認する
- 医院・クリニックの開業に精通しているコンサルタントを選ぶ
- アフターフォローまでしっかりと行ってくれるコンサルタントを選ぶ
先述の通り、医院開業コンサルタントといっても、その種類は多岐にわたります。まずは、それぞれのコンサルタントがどのようなサービスを展開しているのか、どのような特徴があるのかを把握することが大切です。その上で、自身がコンサルタントに求めることを整理し、自身のニーズに合ったコンサルタントを選びましょう。
また、コンサルタントの中には、開業の一部にしか携わったことがない人もいます。開業準備には、全ての流れを把握した上で、それぞれのステップにおいて的確に行動することが不可欠です。コンサルタントを決める前には、複数回の面談機会を設け、質問に対して具体的かつ納得のできる回答が得られるかどうかを確認しましょう。経験豊富なコンサルタントであれば、開業にかかる平均的な資金、採算ラインとなる患者数などについては、すぐに返答できるはずです。
医院・クリニックの開業は、開業したら終わりということではありません。むしろ開業医にとっては、開業してからが本番です。医院・クリニックのオープン後、黒字化するまではしっかりと支援してくれるかどうかについても、事前に確認しておきましょう。
まとめ
医院・クリニック開業に当たり、医師一人だけの力で開業準備を行うのは難しいでしょう。そこで、大きな助けとなるのが医院開業コンサルタントの存在です。医院開業コンサルタントにはさまざまな種類があり、それぞれに特性があります。
まずは、開業においてどのようなことをサポートしてほしいのかを明確化した上で、自身の目的に合った医院開業コンサルタント選びをすることが重要です。医院開業コンサルタントを選ぶ際には、ぜひ「医院開業バンク」を活用ください。
医院開業バンクでは、開業物件の比較検討をすることができ、専任コンサルタントへの無料相談も可能です。開業を考える際には、医院開業コンサルタントのサポートを受け、開業を成功させてください。