コラム

2023年8月25日

クリニックの事業計画の作り方│目的、必要なタイミング、メリット、項目、作成手順、フォーマットまで

目次

クリニックの開業の最初の難関とも言える「事業計画書の作成」。フォーマットは比較的かんたんに入手できるものの、ご自身のクリニックの事業を定義・計画するということで他人任せにはできないし、でも一体何から書いたら良いのか分からないし、と頭を悩ませる方も多いと思います。

当社では多くのクリニックの開業をお手伝いしてきた専任のコンサルタントがクリニックの開業のカギを握る事業計画の作成を、その前段階のビジョン・コンセプトの作成から丁寧にサポートいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

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クリニック開業/閉院のための総合情報プラットフォーム 医院開業バンク 編集部です。 これから医院・クリニックを開業したいとお考えの方が避けては通れない「事業計画書」。

そもそも作成すること自体が初めてで、慣れていないことでありながら、一方でクリックのゴール・将来を定義したり、開業の鍵を握る銀行の融資交渉に必要だったりと、非常に重要なものでもあります。そこで今回は、事業計画書とは何なのかということから、その役割、作成のタイミング、メリット、必要な項目、作成の手順、実際のフォーマットなどについて詳しく説明します。

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事業計画書とは

事業内容や企業の戦略・収益見込みなどを内外に説明するための書類で、主に事業の立ち上げや継続に必要な資金を調達する際に必要となります。

クリニックにとっての事業計画書

一般の起業同様に必要なものです。医院・クリニックの未来予想図であり、理想の医療を実現するための道筋を立てたり、資金を調達したりするために欠かせないものとなります。

事業計画書の目的・役割

目標やゴールを明確にするため

クリニックの最終的なゴールや診療のイメージを明確にすることで、具体的な戦略や戦術、行動などを整理、明確にすることができます。

資金調達のため

公的・民間の金融機関などからの融資審査の際に提出します。

内外への情報共有とコミュニケーションのため

スタッフやパートナー企業、患者等のステークホルダーに対してクリニックの方向性や計画を共有するために使用します。

事業計画書の作り方

事業計画書が必要なタイミング

クリニックを新規・承継開業するとき

一般の起業の際と同様に、クリニックの新規・承継開業においても、そのクリニックが「何のために」「どのような医療を」「誰に」提供するのかを定義・計画しておくことは、その成否を左右します。

融資や出資の申請をするとき

銀行などの金融機関から融資を受ける際にも事業計画書が必要です。重要な判断材料であるため、診療の方向性や損益見込み、資金計画の現実性、売上の根拠などに整合性・一貫性が求められます。

クリニックの方向性を内外に説明するとき

開業時の採用や経営において、このクリニックがどこに向かおうとしているのか、存在意義や強みが何なのかを共有できると、同じ方向を向いてクリニックを運営することができます。口頭での説明よりも計画書を用い、数字等の根拠も踏まえて説明をすることが効果的です。

事業計画書を作るメリット

計画の整理と可視化ができる

計画書に改めて書き出すことで、クリニックで実現したいことや方向性などのイメージを整理することができます。

方向性が共有できる

クリニックの方向性やイメージをスタッフなどに共有しやすくなります。

融資の可能性を高める
口頭での説明以上にクリニックの計画を金融機関等に説明することができ、説得力が増します。審査期間の短縮や審査に合格する可能性を高めます。 (そもそも、金融機関における融資審査では、事業計画書及び返済計画の提出を求められるケースが多いです。)

リスクや課題を把握できる

クリニックの事業上のリスクや課題を特定し、それに対する対策や行動を策定することができます。

関係者からの協力を得やすくなる

クリニックの方向性やアクションプランが明確になるため、開業や経営に関わるパートナー企業などにもイメージが伝わりやすく、協力を得やすくなります。

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事業計画書に必要な項目

開業する医師のプロフィール
クリニックのビジョン・理念・目的
クリニックのコンセプト
診療内容
診療の特徴や強み
市場環境・競合について
集患やマーケティング戦略
組織・人員計画
売上に関する計画
利益に関する計画
資金調達(返済)に関する計画
所得(生活費)に関する計画

事業計画書の作成手順

医師のプロフィールや、クリニックのビジョン、コンセプト、診療内容、計画など、クリニックの全容がわかるような項目を記載します。

作成の順番はありませんが、「ビジョン・理念・目的」から作成されることをおすすめします。すべてを考えてから事業計画書を書き始めるのではなく、書きながら考えるとスムーズです。

また、一度書いたら終わりではなく、専門家や先輩の開業医などに見てもらい、ブラッシュアップすると完成度が高まります。

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事業計画書作成時の注意点

貫性、整合性を意識する

項目の記載内容の一貫性に注意しましょう。例えば、ビジョンやコンセプトでは高齢者への医療の充実を謳いながら、診療内容が若者向けの自由診療中心では辻褄が合わなくなってしまいます。また、「集患のためのホームページ作成」と記載されているのに数値計画に盛り込まれてないといった整合性が取れていない計画も理解を得にくくなってしまいます。

具体的に書く(6W2Hの視点を意識する)

記載内容が短すぎたり、「強化」や「充実」など抽象的な表現が多いと、第三者が読んだときにイメージが伝わらないといったことになりかねません。

そのためには、6W2Hを意識して書くことが大切です。

When(いつ)
Where(どこで)
Who(誰が)
Whom(誰に)
Why(なぜ)
What(何を)
How(どのように)
How much(いくら)

わかりやすく書く

計画書を読むのは金融機関の担当者や支援業者など、医療・診療の専門家ではない人たちです。専門用語やカタカナ用語ばかり列挙するようなものではなく、なるべく平易なことばで表現し、専門用語を記載するときは説明を加えるとよいでしょう。また、表やグラフ、画像などの活用も効果的です。

事業計画書はまずは読んだ方に理解されて、イメージされ、共感されてこそ意義のあるものになります。

事業計画書のフォーマット

日本政策金融公庫

政府系金融機関である日本政策金融公庫は、銀行などの民間の金融機関から融資を受けることが難しい中小企業やこれから起業する方への融資を積極的に行っており、こちらから事業計画書のフォーマットを無料でダウンロードができます。

J-Net21

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する創業者や中小企業経営者のためのポータルサイトで、こちらからも事業計画書のテンプレートをダウンロードすることができます。

日本メディカルキャリア

当社でも事業計画書の雛形の準備、作成のサポートが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。医院開業バンクでは、クリニックの開業・閉院・経営に関するお役立ち資料を無料でご提供中です。資料のダウンロードはこちら

まとめ

事業計画書の作成について詳しくみてきました。

初めてで慣れないことも多いことから、開業コンサルタント等にサポートを依頼するのも一つの手です。ただその際もコンサルタントにすべてを任せきるのはおすすめできません。ご自身の思いや理想を形にし、将来にわたって経営を続けるクリニックです。まずはご自身で「誰のために」「どんなクリニックにしたいのか」を考え、形にしてみることです。

コンサルタントを相談や考えを整理する相手として、またアドバイス・サポートを受けるために頼ることをおすすめします。

事業計画書の作り方

株式会社日本メディカルキャリア ライフ支援事業部

福松 洋祐

医師人生の集大成とも言える「クリニック開業」という機会に多く携わって参りました。今後開業を検討される先生方に少しでも多くの選択肢をお示しできるようご支援いたします。