コラム
2020.07.14
電子カルテをより効率的に運用するために検討したい院内システム
前回は、“令和の電子カルテ状況とカルテ検討のポイント”を、ご案内させて頂きました。今回は、“電子カルテをより効率的に運用するために検討を頂きたい、院内システム”について、ご案内させて頂きます。
電子カルテをより効率的に運用するために検討したい院内システム
電子カルテは、患者様が来院された後の、“受付・問診記録・カルテ作成・会計業務”を支援させて頂きますが、患者様の来院前後、診断業務を支援させて頂く機能は得意としておらず、“診療予約・受付管理、窓口支払い業務”などを効率的に行うためには、他の部門システムとの連携を行う事が必要となります。
では、ここ最近では、どのようなシステムと連携が行われているか、導入効果を含めご紹介させて頂きます。
(1)診療予約・受付管理システム(予約システム)
患者様がクリニックの診療予約を、“PCやスマートフォン”から予約を行うことができるシステムです。
“予約システム”が無い場合、受付時間内に電話をかけたり、受診時に次回予約を取る必要がありますが、予約ができない人は早い時間から来院したり、待合室で長い待ち時間を過ごさなければ診察を受けれない状態が発生ます。
予約システムの導入により、患者様の希望診察時間に合わせて来院できるようになり、その結果、待ち時間が大幅に短縮され、待合室での院内感染予防効果も発揮する事が期待されます。
電子カルテとの連携においては、窓口に設置する受付管理システムで患者様が受付手続きをすると、電子カルテにチェックイン(来院受付)をする事ができますので、受付スタッフの業務も大きく効率化されます。
予約方法は、「時間予約」、「順番予約」、「時間予約と順番予約の組み合わせ」など、診療科目・診療スタイル・に応じて最適な方法を選択する事が可能です。
(2)問診システム(WEB問診)
電子カルテ導入、レセプトオンライン化により、ペーパーレスが進む中、“問診票” は紙媒体で運用されている施設が多い状況です。紙の問診票は、記入された問診票をスキャナを利用して取り込んだり、診療所スタッフが電子カルテに手入力するなど、人手のかかる作業が必要となります。また、紙の問診票は、問診内容が読みづらかったり、大切な部分が“記入漏れ・空欄”の場合、再確認が必要になりますし、転記・入力ミスの可能性もありますので、業務効率が良い状態とは言えません。
以前より、iPad、タブレット等のデバイスを用い、院内で問診を取得し、電子カルテと連携されている施設はありましたが、ここ数年、WEB問診を導入される施設が増えています。
WEB問診の多くは、クラウド型サービスですので、患者様の“PCやスマートフォン”を利用し、インターネット環境がある場所で問診の入力が可能です。診療所ホームページや、先程ご紹介させて頂いた、予約システムと連携する事で、来院前に問診入力を頂く事が可能になります。また、来院後でも、院内に問診入力用のQRコードを掲示することで、待合室で問診入力する事が可能です。
入力された問診は、医療機関側の画面ですぐに確認でき、問診結果を連携している電子カルテに即時反映させる事ができますので、先生はカルテに患者様の主訴・症状が記載された状態から診察を開始する事が可能となりますので、問診に関わる人手の低減、カルテ記載業務も大幅に効率化が図れる事が期待されます。
(3)診療費支払機との連携
最近、スーパーマーケット等でセルフレジの導入が進んでいますが、一般診療所においても徐々に普及・導入検討が進んでいます。セルフレジ導入による施設側メリットは、“会計の時間を短縮できる”、“スタッフがお金に触れず、衛生的である”、が代表例ですが、利用者側も、“ゆっくり精算できる”メリットがあります。
医療機関、特に病院では、診療費支払機の導入が進んでおり、会計窓口に従事していたスタッフの適正配置を図られています。では、診療費支払機の導入メリットをもう少し掘り下げて行きます。
☆金銭の受け渡し削減
診療費支払機で会計を済ませることで、金銭の受け渡し作業が減り、感染のリスクを抑えます。
☆スタッフの現金管理業務の軽減
レジの締め処理や現金計算、翌朝のつり銭準備作業時間を大幅に削減する事が可能です。 また、現金管理の厳正化も可能になります。
☆会計窓口の混雑の緩和
会計滞在時間が短縮されますので、会計窓口の混雑が緩和される事が期待されます。 また、混雑緩和により院内感染対策にも役立つ事が期待されます。
☆現金以外の支払対応
現金決済に加え、交通系ICカード、クレジットカード等に対応(一部オプション)されていますので、 患者様の利便性を高め、未収金削減にも貢献します。
実際に導入をされている施設様の声として、“感染予防”だけではなく、
「業務負担が減ってストレスが減りました」
「締め作業が3分で終了する」
「残業が削減できた」
など、具体的な導入効果が各メーカーホームページでも紹介されております。
診療費支払機の利用は、現役世代の方はスムーズに利用できると思われますが、ご高齢の患者様へは、使用(精算)方法のご案内が必要です。また、導入の際は、処方箋・領収書・診療費明細書の受け渡し方法や患者様の導線・設置スペースの確保、お金が詰まる等の精算機の故障発生時の対応について検討しておく必要がありますが、導入された施設様の声からもメリットは大きいと考えられます。
電子カルテとの連携方法
電子カルテとの連携方法は、大きく2パターンに分かれます。
A)会計精算データ(.CSV等)を電子カルテから診療費支払機へ連携送信
B)一部負担金を領収書等へバーコード印刷し、セルフレジ・診療費支払機で読取りを行う
A)会計データ連携送信時は、電子カルテ/医事会計機能より、会計明細データを連携送信しますので、領収書・診療費明細書は、支払い完了後に、診療費支払機より印刷されますので、電子カルテ/医事会計機能からは、処方せんのみ印刷する運用となります。
B)一部負担金を領収書等へバーコード印刷する場合は、電子カルテ/医事会計機能より、領収書・診療費明細書・処方せんを行い、診療費支払機側からの印刷物はない事が多いようです。 こちらは A)とは異なり、“セミセルフレジ”の運用イメージ頂となります。
まとめ
今回は、診療予約・受付管理システム(予約システム)、問診システム(WEB問診)、診療費支払機を中心にご案内させて頂きました。開業立地、地域性、診療圏内の患者年齢層等をふまえ、ご検討頂けますと宜しいかと思います。また、画像診断機器、臨床検査機器との連携も診療業務の効率化に繋がりますので、費用対効果を含め、ご検討頂けますと宜しいかと思います。
次回は、“電子カルテを安全に運用するために知っておきたいこと”についてご案内させて頂きます。