医者が医院・クリニック開業する流れや必要資金|平均年齢・年収は? | 医院開業バンク

コラム

2020.06.29

医者が医院・クリニック開業する流れや必要資金|平均年齢・年収は?

医師として働く上で、自分の思い描く診療を行いたい、働きやすい環境を整えたいと思い、自ら医院を開業しようと検討している方も多いと思います。しかし、医院を開業するにはさまざまな手続きや資金調達、経営を行っていく上での対策が必要となります。今回は医者が医院・クリニックを開業するメリットやデメリットから、開業する際に必要な工程をご紹介します。

医院開業のメリット

医院開業するメリットとして、次の点が挙げられます。

・自由度の高い勤務ができる
・理想の医療を追求できる
・収入増を目指せる

勤務医ではできない勤務方法や時間、独自の診療スタイルが築ける他、医院にまつわる細かなことまで医師ならではの目線で医院づくりを行うことができるのが大きなメリットといえるでしょう。また、開業医は給与収入ではなく事業収入を得ることになり、開業医は勤務医よりも多く得られるとされています。

医院開業のデメリット

一方で医院を開業するにあたりデメリットもあります。医院開業のデメリットには次の点が挙げられます。

・医者としての業務以外に時間を取られる
・代わりがいないため休みにくい

医院を開業するということは、医者としての仕事以外にも事務や雑務も含めて仕事の一環となる他、経営者として医院管理も求められるようになります。また勤務医のように代わりがいる環境ではないため、体調不良や学会参加等で休みを取りたくても、思うように確保できないケースが多いです。

医院開業の流れ

医院を開業する際は、以下の流れのように進めていくことになります。

1.開業地や物件を選定する
2.事業計画を立てる
3.資金を調達する
4.医院の設計・施工する
5.医療機器を選定・購入する
6.職員の求人・採用を行う
7.医院の宣伝・広告活動を行う
8.会計処理を行う
9.行政手続きを行う
10.開業

このように、ただ開業の手続きを行えば良いだけでなく、さまざまな工程を順序良く行っていくことが必要です。また、開業地の選定から成功する医院づくりは始まっており、工程はすべて開業後の経営にも大きく影響するため、十分な計画性を持って取り組むことが大切といえます。

医院開業に必要な資金

医院開業に必要な資金は、自己資金もしくは銀行の融資を受けて用意しなければいけません。医院を開業するためには、土地や建物の購入費の他に、医療機器や什器、机やイスなどの消耗品の購入、広告宣伝費、開業後の人件費や家賃の支払いに必要となる運転資金などが必要となります。

医院開業にあたり必要なる資金は戸建ての場合は1億円以上、テナントの場合は半分ともいわれていますが、規模や物件、条件によって必要となる費用は異なります。

また、自己資金なしでも開業できるケースもありますが極めて少なく、自己資金がないと金融機関から融資を受けようにも「無担保の場合は5000万円まで」など上限が決められ、希望する融資額を受けることができない場合もあります。

融資を受けようと検討している方であっても、500~1000万円程度の自己資産は用意しておくようにしましょう。

医院開業する医者の平均年齢

医師会が発表する「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」によると、医院を開業する医者の平均年齢は41.3歳という結果が出ており、開業する医師の平均年齢は年々高くなりつつあります。医師として約15年ものキャリアを積んできた中で、勤務医としての将来に限界を感じることや、医師としてより理想の治療を追求したいという思いから、40歳前後で開業する人が多いのでしょう。

開業医の平均年収

厚生労働省が発表する「第22回医療経済実態調査 (医療機関等調査)報告」(令和元年度実施)によると、勤務医の平均年収は約1491万円であるのに対し、開業医の平均年収は約2763万円と、開業医の方が1.8倍もの収入を得ていることがわかります。

ただし冒頭でご説明したように開業医の収入は給与収入ではなく、事業収入であり、全体の収入から融資の借入額の返済やスタッフの給与をはじめ、医院に関する費用を除いた金額が実際の収入となります。一定の収入が毎月得られるとは限らないため注意が必要です。

医院開業に失敗する原因

医院開業に失敗する理由として以下が挙げられます。

・経営知識が不十分
・スタッフの管理が行き届かない
・患者のフォロー不足で評判が落ちる

このように医院開業には、医療に対する知識だけでなく広い知識や経験が必要となり、開業にあたる知識・経験不足から失敗を招くケースが多いのです。

経営知識が不十分

医院開業をすると、医師としての仕事だけでなく、経営や経理の仕事も自ら行わなければいけません。

開業後の経営や経理の実務、法律など詳しい知識がないまま開業した場合、開業後に資金が足りない、経営が上手くいってないのはわかるが対応ができない、患者さまとの訴訟問題に発展するなど大きな問題を抱えることになります。開業する段階でしっかりと計画性を持ち、医師としてだけでなく経営という視点から物事を判断できるようになるか、経営の観点を持つ人をアドバイザーとして雇うことで回避できます。

スタッフの管理が行き届かない

医院を経営する上では、スタッフの管理も重要となります。いくら自分が優れた医師であっても、スタッフの人員不足や教育不足、スタッフ同士のいざこざにより、医院自体の功績が下がってしまうこともよくある話です。経営が始まる前である開業時からスタッフの人員計画の策定や、教育のための研修準備を整えておくことが大切です。

患者のフォロー不足で評判が落ちる

医院開業を成功させるためには、患者さまからの信頼と支持が得られることが大前提です。しかし、医師やスタッフの対応が悪い、予約が取りにくいなど、患者のフォローが不足していると、同然医院の評判は落ちてしまいます。あらかじめ予約の取りやすいシステムを導入したり、医師やスタッフを含めた教育制度を採り入れたりするなど事前準備の段階から、利用者目線で対応すべき箇所を見出すことが必要です。

医院開業コンサルタントを利用する

医師が医院開業を検討する際は、医療以外の分野に関してはコンサルタントの力を借りて、プロの観点から医院開業をサポートしてもらうことも1つの手です。医院開業コンサルタントは、医院のブランディングから開業地の選定、事業計画の作成、医院の設計や工事業者の紹介、資金調達や人員確保など、医院開業にまつわるあらゆるプロセスをコンサルティングしてくれます。医療以外の知識不足や開業後の経営に不安を覚える方はぜひ利用してみましょう。

まとめ

医師が自ら医院開業をするには、医師としての観点や判断はとても重要ではありますが、同時に医院づくりや経営方法についても考えていかなければいけないため、医師の知識や経験だけではカバーできないこともあります。しかし、自分だけですべて行わなければ医院開業ができないわけではありません。自分に合った開業案件を見つけたり、専門のコンサルタントを利用したりして、夢の医院開業を目指しましょう。

医院開業バンク編集部

編集部

医師の転職・採用支援に20年以上携わる医院開業バンク編集部が、開業に役立つ情報をお届けします。

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