コラム
2020.06.29
医院経営に必要な資格や業務内容|医院経営塾やコンサルも紹介
勤務医をやめ、開業医としての人生をスタートさせることは、同時に経営者になることも意味します。医療の手腕には自信があっても、経営者としてのスキルや経験は有していない人がほとんどでしょう。「医院を経営するのに資格はいるのか?」「経営者としてどんな仕事をすべきか」と不安に思う方もいるはずです。そこでこの記事では、医院経営に必要な資格や仕事内容、医院経営を後押しするサービスについて、紹介していこうと思います。
医院経営に必要な資格
医院を経営するために、特別に必要になる資格はありません。医師免許を有していることは前提となりますが、それだけで十分です。医師が開業する平均年齢は約41歳とされていますが、必ずしもこの年齢にならなければならないという条件もありません。極論すれば、医師としての経験がほとんどない状態でも、資金さえあれば開業は可能です。
医院経営に関する資格としては「医療経営士」があります。この資格も、医院経営における必須資格ではありません。しかし、将来的に開業を目指すにあたっては、ある程度医療経営に関する知識やスキルを得ることができるため、取得しておいても損はないでしょう。
医院経営に必要な資金
医院経営に必要な資金は、大きく初期費用と運転資金に分けることができます。初期費用には、土地取得代や医療機器購入費などが含まれるため、千万単位の大きな資金になります。戸建て開業する場合には、初期費用が1億円を超えることも少なくありません。
運転資金には、医院の家賃や医療機器のリース料、従業員への給与支払いなどが該当します。対象診療科目や医院の規模、立地等によっても変わりますが、概ね1000万円程度が必要と考えておけばいいでしょう。特に開業直後は、診療に伴う収入の振り込みもないため、少なくとも2~3か月分くらいは余裕を持って資金を準備しておく必要があります。
医院経営の業務内容
開業医になると、診察・診療だけを行っていた勤務医とは異なり、経営者としての仕事も幅広くこなさなければなりません。具体的には、以下のような業務が求められます。
・診察・医療業務・スタッフの採用・教育・勤怠管理
・集患・顧客満足対策
・経営・経理
れぞれ詳しく解説しましょう。
診察・医療業務
診察・医療業務は医師としてのメインの業務です。それは、勤務医だろうと開業医だろうと関係ありません。さらに言えば、開業医になると、医院に所属している医師は自分以外にはいなくなるため、負う責任も勤務医以上に大きくなります。
ほかにどんなにすべきことがあっても、診療患者がいる以上は、診療を優先させなければなりません。
スタッフの採用・教育・勤怠管理
医院経営のすべてを医師一人でこなすことは不可能です。そのため、主に事務作業や受付担当のスタッフを雇用する必要があります。
雇用に際しては、求人、面接、雇用契約の締結、採用のすべてを行わなければなりません。複数の応募があった際には、かなり時間もかかることでしょう。
また、実際にスタッフを雇用すれば、教育、勤怠管理、給与の支払いも必要な仕事になります。特に、労働条件や最低賃金についてしっかりと知識を有していないと、従業員の早期離職を招いたり、トラブルが生じたりする懸念もあるので注意が必要です。
集患・顧客満対策
医院の売上のすべては集患にかかっていると言っても過言ではありません。患者が来院しないことには、診療報酬の支払いを受けることもないためです。そのため、集患のためのPR活動も、経営者として重要な仕事の1つとなります。インターネットを活用したり、周辺住民へのチラシを配ったりすることが有効でしょう。
また、集患だけではなく、一度来院した患者に継続的に選んでもらう必要があるため、顧客満足度の向上にも注力しなければなりません。そのためにも、患者にとって医院の最初の窓口となる受付職員の教育は丁寧に行わなければなりません。また、採用活動においても、「誰でもいいから充足させたい」というスタンスではなく、しっかりと感じのよい応対ができる人物を見極めていく必要があります。
経営・経理
医院を継続的に経営していくためには、こまかく収支を確認し、黒字ならばそれを維持向上させていくことを、赤字ならば改善していくことを常に考えなければなりません。
また、新たな備品を購入する場合には、どれだけ採算が取れるのかも考えて、判断を下す必要があります。雇用した従業員の勤務歴が長くなると、賃金を向上せざるを得ないこともあり得ます。
一経営者として、採算を度外視した判断や行動は許されません。常に、経理のことを意識しておく必要があります。
医院経営セミナーを活用する
医院経営に関するセミナーが東京、大阪を中心に全国で開催されており、医院経営に関する情報やノウハウについて、詳しく学ぶことができます。医院経営は特殊な分野であり、通常の店舗経営のノウハウだけでは賄えない部分も多々あります。そのため、医院経営の経験が浅い医師は、経営塾やセミナーを利用するのがおすすめです。
まとめ
開業医となると、医師だけではなく、経営者としての肩書も背負うことになります。そして、こなすべき業務の幅も、勤務医時代と比較してかなり拡張されます。最初はなかなか思うようにいかないことも、多々あるでしょう。
開業すれば、経営者として常に学んでいく姿勢も持ち続ける必要があります。その学ぶための機会として、定期的に開催されている医療経営セミナーに参加してみてはいかがでしょうか。医院経営に必要な情報やノウハウを身につけることが期待されます。