開業医になるには|クリニック・医院開業の流れと必要な準備を解説 | 医院開業バンク

コラム

2020.09.01

開業医になるには|クリニック・医院開業の流れと必要な準備を解説

クリニックを開業する際にまずは何から手をつければいいのか?医師の皆さんがまず直面する問題です。まずはクリニックの構想を練るところから、具体的にはクリニックのビジョンやコンセプトを考えることから始めることを当社ではおすすめしています。

開業までの流れは?費用は?事業計画はどうやって作るの?さまざまな疑問や不安にも専任の開業コンサルタントが丁寧にサポートさせていただきます。まずはお気軽にご相談ください。

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クリニック開業はゴールではなくスタート

勤務医として様々なキャリアを積んだ医師の中には、自分の医院を開業したいと思っている方もいるでしょう。とはいえ、医院を開業するためには何から始めたらいいのかわからないという悩みを抱えている人も少なくありません。そこで今回は、医院開業の流れや医院開業に必要な資金など、開業に必要な知識について詳しく説明します。自分にとって理想の医院を開業するために、基本を押さえておきましょう。

【参考記事】クリニック開業まず何から始める?│ビジョンの作り方・コツ・注意点やビジョンからコンセプトの作成まで
【参考記事】クリニックの事業計画の作り方│目的、必要なタイミング、メリット、項目、作成手順、フォーマットまで

医院開業の流れ

医院を開業する手順は、以下の通りです。

1.クリニック構想
2.開業地選定
3.物件探し
4.資金調達
5.内装・外装準備
6.スタッフ募集
7.宣伝広告

以下、それぞれについて詳しく解説していきます。

クリニック構想

医院を開業するにあたり、まずコンセプト(構想)を明確に決めておきましょう。コンセプトを明確にすることで、以下のようなメリットがあります。

・集患に向けた患者様へのアピール要素になる
・医院開業時の投資基準が明確になる
・医院運営の軸となりブレがなくなる
・スタッフ採用の基準となる

コンセプトを決めないと患者さんに上手くアピールできなかったり、不得意な分野の診断を求められて「あまり良くなかった」という悪い評価を受けたりしかねません。また、運営の軸がぶれるなど、コンセプトを決めなかったばかりに良いスタートが切れない、開業してから悪い評価を付けられてしまうといったことも起こり得ます。コンセプトを決めることは開業にあたって非常に重要です。

以下にクリニックのコンセプト例をいくつか挙げますので、参考にしてみてください。

・医療サービスの質を徹底
・患者様の利便性を追求する
・子育て支援を全面的に打ち出す

コンセプトは「どこでどのような医療を誰に提供するのか」を具体的に深堀りして決めていきます。リソースは「人・モノ・金」と限られていますので「何をやりたくないのか」を判断材料にするのもひとつの方法です。

開業地選定

開業地を選定する上で重要なポイントは以下の通りです。

・競合医院が少ない、かつ潜在患者が多い
・周辺の環境も考慮する
・交通機関などの利便性が高い
・できるだけ目立つところ
・駐車場が確保できる
・院外調剤の出店スペースがある

上記のポイントをしっかり押さえた上で自分の納得する場所を見つけるようにしましょう。

開業地を選定する際は、以下の手順で行います。

1.開業候補地のおおまかな選定
2.地域性の検討
3.競合度の検討
4.診療圏調査
5.候補地決定

物件探し

医療物件は、大きく分けると「戸建て型」「ビルテナント型」「医療モール型」の3つがあります。まず、どのタイプの物件にするか考えておきましょう。

物件を探す上で重要なポイントは以下の通りです。

・わかりやすい場所にある
・医院に必要な部屋の広さと天井の高さがある
・医療機器の大容量な消費電力に耐えられる設備
・賃料が適切な価格
・エレベーターの有無

患者さんの多くは健康面に不安を抱えているため、物件探しは患者さんの立場に立って考えることが大切です。

物件を探す手順は以下の通りです。

1.物件の選定: 計画物件・不動産会社の募集物件・居抜き物件・継承物件から選び、開業時期・建物の構造・賃貸条件から検討する。
2.物件の内見: 給排水位置・電気容量・空調設置状況など物件の現況を確認し退去時の条件もよく確認しておく。
3.賃貸契約: 賃料・保証金・保証金償却・管理費・共益費・契約形態・看板スペース・賃料発生時期について確認しておく。

資金調達

資金調達には自己資金の他に6つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットと合わせて紹介するので、参考にしてください。

・親族・親戚・知人
メリット:返済期間や返済金額を自由に決めることができる
デメリット:金銭消費賃借契約書を守らなければトラブルとなる
税務上、贈与とみなされてしまい課税されてしまうケースもある

・民間金融機関
メリット:交渉次第で条件が有利になる
担当者によってスピードが速く、さらに融通も利く
デメリット:交渉を有利に進めるためには知識・準備が必要

・制度融資
メリット:利子補給を受けることができる
デメリット:信用保証料が必須
自己資金が十分にないと融資を受けることができない
融資を受けられるのが開業後となるケースもある
制度の種類が豊富にあるため専門的な知識が必要

・独立行政法人 福祉・医療機構
メリット:償還期間を長期で組める
民間と比較すると据置期間が2年以内と有利
固定金利で貸付利率が低い
デメリット:自己資金が十分にないと融資を受けられないケースがある
新築融資は市区町村に既存の診療所数が不足している地域のみ

※参考:独立行政法人 福祉・医療機構ホームページ

・日本政策金融公庫
メリット:固定金利で民間より低利率
デメリット:担保が必要な商品の場合、民間と比較すると評価が厳しい
手続きに手間がかかってしまう

※参考:日本政策金融公庫ホームページ

・リース会社
メリット:比較的使用しやすい
デメリット:医療機器などにしか利用できない
リース契約はどのようなものか正確に理解しなければならない

内装・外装工事

内装・外装設計から工事までの流れは以下の通りです。

1.設計事務所を選ぶ
2.設計士と内装・外装コンセプトの打ち合わせをしてコンセプトを固める
3.内装・外装図面を確定する

この際、医療業界に精通していない設計事務所を選んでしまうと、明るい窓際にエコー機器を設置したり、レントゲンのシールド設置の際にかなりのコストがかかってしまったりする可能性があるので注意しましょう。

内装・外装を考える際、迷われる方もいると思いますので、ここで重要なポイントをご紹介します。

・清潔感はあるか
・照明は明るいものを使う
・衛生面はどうか
・スムーズに院内を移動できるか
・個性を活かしたデザインか

スタッフ募集

医院を開業する際は、オープニングスタッフを募集する必要があります。とはいえ、どのような流れで行えばいいのかわからない方もいることでしょう。ここでは、スタッフ募集の際に必要な準備や期間などについて解説します。

スタッフ募集を行う具体的な流れは以下の通りです。

1.採用基準・コンセプトを決める
2.スタッフを募集する媒体を選び掲載する
3.応募書類を整理して書類選考を行い、面接予定日を決める
4.採用面接の実施
5.採用が決定したら採用通知を早めに出す

スタッフを募集するために必要な期間は、一般的に2〜3ヶ月程度となっています。採用の研修期間も考慮して、開業する3〜4ヶ月程度前からスタッフ募集の準備を始めると良いでしょう。

開業を検討中の医師の中には採用面接を行うのは初めてという方もいるでしょう。そこで、面接を行う前に質問事項をまとめたり、採点表を作成したりしておくと、テンポ良く面接を行うことができ、さらに選考もスムーズに行うことができます。

宣伝広告

医院開業の宣伝広告は「Web」と「紙」を使います。インターネットの普及により、近年重要性が増しているWebページを活かして宣伝を行いましょう。高齢者をターゲットにしている医院だとしても、家族が見ている可能性が高いため、どのような年齢層の方にもWebページによる宣伝は需要があります。

一方、紙の広告には近隣へのポスティング・チラシや新聞の折込広告という方法があり、住宅地などに立地していて地域の住民をターゲットにしている医院の場合に有効です。

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医院開業のメリット

医院を開業するメリットとして、以下のようなものが挙げられます。

・自由度の高い勤務ができる
・収入増を目指せる

開業医になることで、勤務時間や診察科目などを自分で自由に決定することが可能です。さらに、開業することによって患者様との向き合い方や接し方を自分のスタイルで行うことができるようになります。

また、収入面においても、厚生労働省による調査で勤務医よりも開業医の方が平均収入は多いという結果が報告されています。今以上の収入を目指したい方にとっても医院の開業はおすすめだと言えるでしょう。

医院開業のデメリット

医院を開業するデメリットは以下の通りです。

・医師としての業務以外に時間を取られる
・代わりがいないため休みにくい

勤務医は医師としての業務に集中することができますが、開業する場合は医師としての業務に加えて医院を経営していくための業務が必要になります。資金練りや従業員の管理業務なども増えることを念頭に置いておきましょう。また、勤務医の場合は、交代で業務を行えていたことも、開業した場合は自分ひとりで業務を行うことになるので、休みをとりにくいといったデメリットがあります。

医院開業に必要な資金

医院を開業するには、もちろん資金が必要です。ここでは以下の2点について解説していきます。

・自宅で開業する場合に必要な費用
・スタッフの給与の相場

それぞれ必要な資金について見ていきましょう。

自宅で開業する場合に必要な費用

自宅で開業する場合に必要な費用は、一般的に通常の開業費用の2倍と言われています。場合によっては1億円以上かかるケースもあります。

また、自宅で開業する場合は、自宅兼医院開業特有の問題点があります。電源やインターネットなどのインフラが弱いため保守管理が行き届かないことやセキュリティが低いことや、個人事業主は勤務医に比べて社会的信用が得られないためローンやカードの契約が困難になってしまうという点です。

自宅開業の場合とそうでない場合の違いは以下のようになっています。

・開業資金:自宅開業の方が高い
・レイアウトの自由度:自宅開業の方が高い
・準備期間:自宅開業の場合1〜2年・その他の場合1年程度

その他にも、自宅開業であれば土地建物を担保にすれば開業資金を借入しやすいですが、そうでない場合には担保価値がないため借入が難しいなどの違いがあります。

スタッフの給与の相場

医院を経営する上で、スタッフの給与をどうするかは重要です。人件費率の適切な目安は20%と言われています。人件費率は「人件費÷売上高」で算出します。開業したての際、極端に雇用を増やしてしまうと資金繰りが悪くなってしまいますので、注意が必要です。

では、スタッフの給与の相場がどのようになっているのでしょうか、以下、平均給与をご紹介します。

・看護師:33万円
・受付:22万円
・看護助手:19万円
・医療事務:18.6万円

あくまでも平均ですので、参考程度にとどめておいてください。

まとめ

自分の医院を開業するまでには、クリニック構想・開業地選定・物件探し・スタッフ募集・資金調達など、手間や費用がかかりますが、達成感ややりがいは計り知れないものと言えるでしょう。医院を開業することは医師にとってゴールではありません。自分の納得する医院を開業して、新たなスタートを切ってください。

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