コラム

2021.08.23

開業医に必要な費用と内訳|必要な自己資金と資金調達方法

目次

開業医となるために必要な費用はどのくらいでしょうか。医師としての経験は積んできていても開業となると、どこから始めればよいのかわからない方も多いかもしれません。さらに開業しても患者は来てくれるのか、立地はどこが良いのかなど、迷うことも多いでしょう。今回は、医院開業のための費用や開業支援サービスについてご紹介します。

開業医に必要な初期費用・運営費と内訳

開業医に必要な初期費用には、物件や内装に関わるものの他、医療機器や什器、件費、電気代、広告費などの当座の運転資金があり、これらは診療科目に関わらず必要となります。

賃貸で借りるのであれば通常の住居と同じく、保証金、礼金や仲介手数料などまとまったお金が契約時に必要となります。家賃50万円の物件であれば500万円程度、空調や壁紙など内装に手を加える場合には、30坪程度で1,200万円ほど見積もっておくとよいでしょう。

医療機器も購入やリースにより金額が異なりますが、1,000万円程度、そして当座の運転資金として1,000万円を見積もり、これらを合わせだいたい4,000万円が初期費用の目安と言えるでしょう。

以下、各診療科によっての初期費用の目安についてご紹介します。

整形外科

整形外科のクリニック開業費用の相場は6,000万円とされています。リハビリテーションを行うことが多く、そのための設備も必要となることから面積の大きい物件を選ぶ必要も出てくるでしょう。そのため、物件のみで3,000万円、X線撮影装置、牽引器や平行棒などの設備で2,000万円ほど必要となります。

また、放射線技師、理学療法士、リハビリ助手などの職種の採用も必要なため、人件費の割合は他の診療科目よりも高くなる傾向です。スポーツによるケガへの診察・ケアを重視する、理学療法士を多めに雇い、リハビリテーションが手厚いクリニックにするなど、専門性などの特色を出すことで他のクリニックとの差別化を図るとよいでしょう。

眼科

眼科のクリニック開業費用は、レーザー治療レベルにするのか、白内障手術などが行えるレベルにするのかによって大きく違ってきます。基本的には5,000万円~ですが、手術が行えるレベルにするのであれば、プラス2,000~3,000万円ほどコストが上がると考えておきましょう。

また、物件の面積は、レーザー治療レベルであれば30~40坪程度ですが、手術を行うレベルにするのであれば70~100坪程度が必要となるでしょう。目が不自由な患者はもちろん、高齢者や車椅子の患者も多く、散瞳薬を使用しての検査もあることから、バリアフリー化は必須です。

また、眼鏡やコンタクトレンズの処方を目的とした診察も多いですから、近くに眼鏡店があるかどうかなど立地も大きなポイントとなるでしょう。

耳鼻科

耳鼻科のクリニック開業費用の相場は5,000万円程度です。医療機器として耳鼻科診療ユニットやネプライザ、そして設備には聴力検査室などが必要となります。

耳鼻科の患者は他の診療科目に比べて多いので、短時間で適切な診察ができるかどうかがカギになります。患者数を考え、待合室を大きめに、30~40坪の面積を確保するとよいでしょう。また医師自身がスムーズに移動できるよう同線を考えた設計にすることも有効です。

患者層については、今後の少子高齢社会に向けて、高齢の患者を獲得するよう立地にこだわるのもよいでしょう。もしくは診療圏を広げて小児患者を獲得するなど戦略を考え、立地、機器などを選びましょう。

外科

外科のクリニック開業費用の相場は4,500万円程度です。外科をメインとした開業は一般的に難しく、高い専門性を持っていることや、競合に勝てる強みが必要となるでしょう。

継続して患者が来院することがあまりない診療科なので、新規患者に来院してもらえるよう、ホームページや広告での宣伝活動は欠かせません。地域の住民に「外科といえばここ」と思ってもらえるような医院経営やサービスを知ってもらえるようにしましょう。

医療設備はX線撮影装置やDICOM画像が見られる高精細モニター、PACS、手術台などで、1,500万円ほどですが、競合相手との差別化を図れる部分でもあります。充実した設備で検査してもらえることをサービスとするのであれば、さらに設備に費用をかけることも必要でしょう。

内科

内科のクリニック開業費用の相場は4,500万円程度です。内科は競合が多い診療科目のため、差別化を図るために医師の強みに合わせた医療機器を準備する必要もあるでしょう。

内科領域で専門医の資格を持っている場合でも、神経内科、呼吸器内科と単科標榜で開業せず、「内科」も標榜しておくことで、風邪やインフルエンザなどの患者も来院しやすくなり、広く患者を集めることに繋がります。また、そういった患者が、専門は神経内科であることを知った場合、将来、その専門領域の患者になる可能性もあります。

一般内科の場合には、立地も大きく影響します。大都市部では一般内科のみで成功することは難しくなっているため、郊外に目を向け、将来人口が一定数を保つ地域を選ぶことで医院経営を安定することができるでしょう。

開業医に必要な経費

医院を経営するにあたり、必要な経費の項目としては以下のようなものがあります。

・人件費:スタッフの給料や雇用保険、厚生年金などの法定福利費。
・設備費:土地や建物、設備にかかる費用。駐車場や水道光熱費、リース料、医療機器など。
・交際費:接待や慰労を目的とした経費。近隣のクリニックの医師や大学病院の先生との食事会など、情報収集のために行われるもの。
・会議費:事業に必要な話し合いを適切な相手と行った場合の会場の使用料、お茶やコーヒーなどの飲料代、資料代。
・出張費:学会へ参加する際などの交通費など。
・福利厚生費:社員の慰労に関わる忘年会、新年会の費用や、結婚祝い、香典など。

医療法人化をすれば税率が低くなるなどの税制面でのメリットがあります。しかし、手取りが減り、プライベートで使える金額が減るというデメリットも押さえておきましょう。

開業医に必要な自己費用

医院開業に必要な最低限の自己費用の目安としては、2,000万円を用意しておくのが望ましいとされています。実際には自己資金を充分に持っている人もいれば、ゼロであるなどばらつきがあるのが現実です。借り入れや返済を考え、開業資金の10~20%程度を目安に自己資金を準備すると良いでしょう。

医院開業費用の資金調達手段

医院開業の資金調達として融資を受けることができる先としては、以下のような機関があります。

・日本政策金融公庫
・民間銀行
・福祉医療機構
・リース会社

日本政策金融公庫

政府系の金融機関で、比較的低金利で貸し出しを行っています。融資額は最大7,200万円で運転資金の場合には、融資期間は7年以内です。個人でも開業医でも固定金利で借り入れができるメリットがあります。

民間銀行

メガバンクを始め、銀行や信用金庫で融資を受けることもできます。担保や保証人の有無によって異なりますが、1億円を超える融資が可能になることもあるでしょう。それぞれの銀行で要件は異なります。マイナス金利が続いているので、条件について柔軟に対応してもらえることもあります。

福祉医療機構

診療所や介護福祉施設などの施設の開業費を融資してもらえます。融資期間は30年と長期で、融資限度額は所要額と融資率によって決められます。一部自己資金や、開業地域によって規制がある場合もあるので注意しましょう。

リース会社

開業資金をリース会社から借り入れることもできます。担保に依存せず事業性を融資した審査を行うなど、柔軟な対応も期待できることから、医療機器をリースするのであれば、相談してみるのも良いでしょう。融資期間や限度額はリース会社ごとに異なります。

開業医支援に相談するのがおすすめ

開業医支援サービスに相談することで、開業にまつわる様々な問題を解決に導くことができます。開業支援コンサルティングはもちろん、クリニックプレ事業設計など、慣れない業務について適切なアドバイスを受けることができるでしょう。その他、人事労務や経営の効率化などについても対応してくれる場合もあります。採算の取れる開業を具体化するために、支援サービスを利用してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は医院開業のための費用についてご紹介しました。診療科目により開業資金は異なります。ご自分の専門性からどのような医院を開業したいのか、きちんと決めておくことが必要です。しかし、有望な立地や診療圏などは簡単にわかるものではありません。開業支援サービスを活用し、診療圏として有望な立地や物件を探してもらうことをおすすめします。

医院開業バンク編集部

編集部

医師の転職・採用支援に20年以上携わる医院開業バンク編集部が、開業に役立つ情報をお届けします。

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