開業医の年齢に関するデータから見る実態|開業・継承・引退の年齢は? | 医院開業バンク

コラム

2020.09.01

開業医の年齢に関するデータから見る実態|開業・継承・引退の年齢は?

いくつで開業すべきか・・・いくつで引退すべきか・・・先生方にとっては人生を左右する大きなポイントです。何はともあれ早めの計画が大切です。当社では開業、閉院のお手伝いはもちろんのこと、資産形成やライフ(マネー)プラン作成、引退後のご転職先の紹介まで、幅広くお手伝いいたします。まずはお気軽にご相談ください。

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開業・継承・引退の年齢は?

現在、開業医をはじめ医療現場では高齢化が進んでいるといわれており、開業医になる年齢はもちろん、開業医を引退する際の年齢も年々高くなっています。これから開業医を目指す方は、開業医の年齢に関するデータから、ご自身のライフプランを形成していくことが大切です。今回は、開業医の開業や継承、引退の平均年齢を基に、開業医の実態について解説します。

開業医の平均年齢

開業医の平均年齢について見ていきましょう。厚生労働省が発表した「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、平成18年から平成30年にかけての開業医の平均年齢は以下の通りです。

医院と診療所では、診療所の方が開業医の平均年齢が低いことがわかります。しかし、どちらの開業医も年々高齢化が進んでおり、平成18年から平成30年の12年間で医院の開業医では1.6歳、診療所の開業医は2.3歳も平均年齢が上昇しています。

診療所の開業医における平均年齢は継続して上昇傾向にあるため、今後も平均年齢が上昇することが予想されます。一方、医院の開業医における平均年齢は大幅な変化は見られませんが、平成28年、平成30年と64歳代をキープしているため、今後も同じ年齢、あるいは平均年齢の上昇が考えられるでしょう。

開業医の年齢分布

開業医の年齢分布を見ていきましょう。平成30年度では、開業医の年齢分布は以下の通りです。

医院の開設者における年齢分布では、50歳以降から開業医になる人が急増していることがわかります。医院の開業医で最も多い年齢が60代となり、次に70歳以上であるため、開業医自体の平均年齢が高くなっているのです。

次に、診療所の開業医の年齢分布図を見ていきましょう。

診療所でも50歳以上の開業医が多く、中でも60代の開業医の人数が極めて多いことがわかります。しかし医院に比べて、診療所の方が20代、30代で開業する医者も多いため、医院よりも開業医の年齢幅が広いと言えるでしょう。

開業するときの平均年齢

開業医が実際に開業したときの平均年齢を見ていきましょう。日本医師会が2009年に実施した「開業動機と開業医(開設者)の実情に関するアンケート調査」によると、開業医全体の平均年齢は以下の通りです。

開業医の平均年齢が60代であるのに対し、実際に医院開業をした年齢は41歳が平均であるという結果が出ています。開業医の現在の平均年齢である60代に比べ、実際に開業する年齢は40歳であることから、新説される医院の件数は決して多くはないということがわかります。

また、医院開業を検討し始めてから、開業に向けた具体的な準備、そして実際に医院開業をするまでの期間は約2年間と、検討し始めた頃からスムーズに取り組んでいる方が多いようです。

医院を継ぐときの平均年齢

続いて医院を承継する際の平均年齢を見ていきましょう。

このように、医院を継いで開業医となる場合の平均年齢は40歳と、ゼロから医院開業をスタートする開業医に比べて若干年齢が下がる傾向にあります。しかし、医院承継を検討し始めてから実際に承継するまでにかかる時間は平均で3年間と、承継の手続きに手間がかかり、新しく医院を開業するよりも時間がかかってしまうケースが多く見受けられるのも特徴です。

引退するときの平均年齢

開業医が引退するときは何歳なのでしょうか。帝国データバンクが2015年に発表した「医療機関の休廃業・解散動向調査」によると、医療機関の休廃業・解散件数推移は2009年では医院18床、診療所85床、歯科医院13床の計116床が閉院し、5年後の2014年には医院30床、診療所271床、歯科医院46床の計347床が閉院したという結果が出ており、5年間で200床以上もの医療機関が閉院していることがわかります。

2014年の医院廃業の際の代表者の年齢分布を見てみましょう。

今回の結果では、閉院する医院の代表者の年齢は70代と80代が多いことがわかりました。医院開業する平均年齢が約40歳であることから、開業医として30~40年経営を続ける方が多く、この期間の間に医院を閉院するか、あるいは引退後に後継者に継続するかの判断を行うことが必要です。

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開業医が抱える問題点

開業医にとっては、開業にあたっての問題から開業後に運営していく上で抱える問題点がいくつか存在します。その中でも特に開業医にとって大きな負担となるのが以下の3つの問題です。

・資金調達・やりくり
・後継者問題
・引退後の資産

それぞれの問題について、詳しく見ていきましょう。

資金調達・やりくり

開業医として医院を経営するにあたり、開業するための資金や、開業後に経営していくための資金を調達する必要があります。

医院の開業資金は、取り扱う診療内容や医院のコンセプトによって大きく異なります。例えば一般内科の場合、戸建て開業かテナント開業かによっても異なるため2,000万~8,000万円と相場の幅が広くなります。一方、消化器内科や、循環器内科は自己資金が1,000万円程度あれば開業ができるケースもあるようです。また、CTやMRIを使用する脳神経外科では設備費用が大きくなるため、6,000万~1億円以上必要となるケースもあります。

また、開業後には水道費や光熱費をはじめ、医院を経営していくための運転資金が必要となります。開業し始めは売上だけで経営資金をやりくりしていくのは難しいことも多く、安定した収入を得られるまでは金融機関からお金を借りるか、自己資産で乗り切らなければなりません。

資金調達は主に、自己資金や、親族からの援助金の他に、金融機関からの借り入れとなります。自己資産がなくても開業できるケースもありますが、今後の経営のことを考えると、手元資金が全くない状態では経営難になった場合カバーできません。開業時から資産計画をしっかり立てておくことが必要です。開業資金や経営資金の調達に不安のある方は、医院開業をサポートするサービスを利用するのも良いでしょう。

診療科目別に開業にかかる自己資金について解説しているので参考にしてみてください。
参考:医師開業時の自己資金の目安を各科目別に紹介|医師資産形成.com!資金調達の方法も説明
参考:医師が有利な条件で融資を受ける方法!審査のコツも紹介|医師資産形成.com

後継者問題

開業医にとっては大きな問題となるのが、後継者問題です。開業医を引退したい場合や、勤務医に戻りたい場合などの理由から、医院を手放したい方もいるのではないでしょうか。開業した医院を長く続けるには、自分の後を継ぐ後継者の存在が必要不可欠ですが、最近では肝心の後継者が見つからないというケースが多数存在します。子どもや家族に引き継いでもらいたいと思っていても、診療科目の違いや、都心部の医院で働いているため戻ってくる見込みがないなどで、後継者を一から探す方も多いです。

後継者が見つからない開業医にとっては、廃業への道を余儀なくされますが、廃業には1,000万円近くコストがかかりますし、従業員の失業、地域に医療機関がなくなり困ってしまう人が増加するなど、自他ともに影響が大きい行為です。

後継者は親族だけには限らず、開業したいと志す医者を見つけることができれば、医院を承継することができます。コストがかかるから早いうちに閉院するという手段ではなく、早いうちから後継者を探すなど第三者承継を検討してみてはいかがでしょうか。

引退後の資産

開業医を引退した後は、医院を経営するお金の心配はなくなりますが、ご自身が生活するためのお金をやりくりしていく必要があります。政府が発表する老後に必要な資金は2,000万円とされていますが、これはあくまで通常の日常生活を送る上での金額となり、ゆとりを持って生活するにはこれ以上の貯蓄が必要です。

引退した後にどのような生活を送るのかを想定した上で、開業医として働くうちから老後の資産を蓄えておくことが大切です。また、貯蓄の他には、医院承継を行うのも1つの方法と言えるでしょう。承継するということは医院を売却することになるため、利益を得られることがあります。

老後の資金に不安のある方や、早い段階で開業医を引退する方の場合は、引退後に再就職するという方法もあります。医師生活は一般的なサラリーマンと違い、定年に捉われず仕事ができる環境も多くあります。医師としてセカンドキャリアを築くことで、引退後の資産を蓄えていくのも良いでしょう。開業医が引退する平均年齢が60代~70代と高齢になるため、再就職する際は同じ医療機関の他に、経営者として他医院に携わる、医療機関以外の職業に再就職するなどの方法があります。

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開業医引退後の働き方

開業医として引退した後も働き続けたいという方は、どのように働いていけば良いのでしょうか。開業医の引退後の働き方を3つご紹介します。

他の医療機関に再就職する

開業医としては引退しても、変わらず医療機関に勤めたいという方は、他の医療機関に再就職する方法があります。例えばこれまで外科の診療を行っていた方が体力の限界を感じて引退を検討した場合、慢性期の患者の受け入れを行っている医療機関に転職するなど、同じ医療機関であっても違う働き方ができる場所があります。また、外科から内科に転科するなど、これまで行っていた専門科目を変えることで、新しいフィールドにチャレンジすることも可能です。ただし、専門外の知識を付ける必要があるため、再度努力が必要となります。

医療機関以外の職業に転職する

開業医がセカンドキャリアとして、介護老人保護施設や産業医として働くケースも珍しくありません。介護老人保護施設や産業医ではしっかり休暇制度が取られていることから、開業医時代の激務に比べ、休みが取りやすく、ワークバランスが整えやすい環境でもあり、開業医としてのハードワークに限界を感じた方でも、働きやすいと感じる方も多いでしょう。しかし開業医とは違い求められる業務内容や患者との関わり方も異なるため、業務への向き合い方を考えていく必要があります。

医院の経営に携わる

開業医のセカンドキャリアとして、医療施設の院長や副院長に就任し、現場で患者の診察などは行わず、経営にのみ携わる方法もあります。医院に利益を出す方法を考えることや、従業員が働きやすい環境づくりを行うなど、経営者としての観点が必要となります。開業医として医院経営を行っていたノウハウを活かしながら取り組むことができる上、現場ではなく組織経営のみを具体的に行うことに対し、新しいやりがいを見つけられるという開業医も多いでしょう。

まとめ

開業医として働き始める年齢は人それぞれです。しかし、開業医を目指す上では医院開業時や開業医を引退する際の平均年齢のデータを把握しておくことで、今後のワークプランを立てることができます。開業医として成功するためにも、先を見たブランディングをしっかりと行い、資金調達や後継者問題、引退後のライフプランには早め早めの対策を取ることをおすすめします。

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