コラム

2020.07.31

開業医の失敗の原因と事例|クリニックの開業に成功するための法則とは

目次

開業医として医院を経営していくにあたり、気をつけておくべきことはたくさんあります。 患者さんへの接し方、適切な治療ができるかなど診療面以外に、経営面での知識が必要になるなど、勤務医とはまた違うスキルが求められるのです。 ここでは、すでに開業をしている方がどのようなことにつまずいたのか、実際の事例を交えながら、失敗しないための注意点をご紹介します。医院経営に成功する法則についてみていきましょう。

開業医として失敗しないために|成功の法則

開業医として失敗しないためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。

・開業前の準備は時間をかけて行う
・医療だけでなく経営であることを理解する
・機器にお金をかけてもニーズに合わないと意味がない
・自身の強みを生かす

上記の注意点について、具体的内容なのか見ていきましょう。

開業前の準備は時間をかけて行う

開業前の準備については、気がはやってしまうかもしれませんが、十分な時間をかけて行いましょう。 あまりに準備を急ぐと、患者さんをしっかりと受け入れられる体制が整っていない状態で開業してしまう可能性があるからです。

開業の際に十分な準備ができていないと、予想以上に患者さんが多く来院して十分な対応ができない、あるいは逆に来院者が少なく、人件費がかかりすぎるなど、さまざまなトラブルが起こり得ます。 短期間で準備をして開業すると、このようなトラブルが想定できずせっかく来院した患者さんが離れていってしまう可能性があり、評判にも関わってしまうのです。

また、スタッフと連携をとりながら信頼関係を築くことも大切ですし、開院することを地域の方に知ってもらうための宣伝も重要です。短期間で広く周知してもらうのは難しいので、常時情報発信ができる医院のWebサイトを開設したり、地域の方に対してチラシを配ったりするなど積極的な宣伝をする必要があります。

設備を整えたりスタッフを採用したりして診療体制の準備をするだけでなく、医院を知ってもらうための準備も必要です。開院前に何が必要なのかしっかりと計画を立て、予想外のトラブルが起こっても対応できるよう、準備には時間をかけましょう。

■開業場所
開業場所を検討する際には、駅近であるなど通いやすさはもちろん、賃料と立地の兼ね合いのほか、その地域に同じ診療科目で開業している医院がどれくらいあるかなどもチェックしましょう。主なチェックポイントは以下の通りです。

・アクセスのしやすさ
・賃料(家賃)
・戸建かビルか
・近くに同じ診療分野の医院があるかどうか
・診療に使う機器を設置できるくらいのスペースがあるか

アクセスや立地はもちろん、戸建なのかビルの中にあるのか、ビルの中にある場合には奥まった場所やわかりづらいところではないか、薬局が近くにあるかどうかなどをリサーチすることも必要です。患者さんの目線も考慮して最適な開業場所を選びましょう。また、アクセスや立地だけでなく、これから医療サービスを提供し続けていける可能性についても十分検討することが大切です。

■診療科目
開業するにあたって診療科目は非常に重要です。内科・呼吸器科といったように複数の診療科目を掲げる医院も多いですが、患者さんから見ると幅広い病気の診察をしてもらえると思う一方、あまり診療科目が多すぎると専門外ではないのかと不安を与えてしまう可能性もあります。 あまりに診療科目を広げ過ぎず、しっかりとした診療ができる診療科目を掲げるのがおすすめです。

■開業資金
開業資金にいくらかけるかについても決めなければならない重要事項です。 診察・治療に最低限必要な機械をそろえることは大切ですが、最初の出費があまりにも大きすぎると、売り上げが思ったように上がらず融資を受けた場合の返済ができない可能性があります。 設備や物件に対してあまりにも大きな額をかけようとした場合、そもそも金融機関からの融資がおりない可能性もあるでしょう。 開業資金のめどについて迷ったら、医院開業に精通したコンサルタントに依頼して具体的な資金計画を立てたり、すでに開業した仲間に相談したりするなど、具体的にいくらかけるべきなのか事業計画に盛り込むようにするのがおすすめです。

■人材
開業するにあたって看護師や受付・事務スタッフが必要になりますが、最初から雇いすぎないようにすることも大切です。 人件費は支出のうち非常に大きな部分を占めます。実際に開業してみてどれくらい患者さんが集まるかといった現実がわからないうちに多くのスタッフを雇うと人件費が大きな負担となりかねません。 そのため、最初のうちは常勤のスタッフの数を抑えたり、シフトの融通が利くパートのスタッフを雇ったりするなどの工夫をすると良いでしょう。 また、スタッフが働きやすい環境作りに努めるとともに、どのような医院にしていきたいかというビジョンを共有し、準備期間中には積極的な人材育成を行うことをおすすめします。

医療だけでなく経営であることを理解する

開業するには、ただやってくる患者さんの診察や治療をすれば良いというわけではありません。 医院経営を自ら行うわけですから、医療面だけでなく経営面についてしっかりと知識をつけ、周りのスタッフと連携をとって医院を続けていく努力が必要です。 開業する地域について良く知ることや、患者さん一人ひとりが安心して受診できる環境作り、地域のかかりつけ医として定着できるようにするために取り組むべきことを行いながら、医院経営の知識をつけていきましょう。

■患者とのコミュニケーション
開業医でも勤務医でも、さまざまな患者さんを診ていきますが、大きく違うのは、開業医の方が患者さんとのコミュニケーションがより重要だということです。 開業医の場合、地域におけるかかりつけ医として通う人も多く、普段と違う様子をくみ取って病気や症状を見つけていくことが重要だからです。コミュニケーションをとって患者さんからの信頼を得て、医院の評判を上げることが、継続した来院者増につながります。

■スタッフ教育
開業医は、自分の理想とする医療を患者さんに提供することができるのが魅力です。 ただし、その理想はともに働くスタッフと共有しなければうまく医院を経営することはできません。患者さんへの接し方や、診療時にやってほしいこと、医院内の掃除や器具のメンテナンスなど、さまざまな指導が必要です。 スタッフ教育の際には、高圧的・一方的に押し付けるのではなく、ともに働く仲間として対等な立場で医院に対する姿勢を共有していくようにすると良いでしょう。

■宣伝
新規開業にあたり必要なのが、宣伝です。 開業する場所の周辺地域の住民に宣伝をし、患者さんを集めることが医院の利益に直結します。そのためには、まず開業前にしっかりと宣伝活動を行うことが大切です。 新聞の折り込みチラシや、地域で配布されているフリーペーパーなどは多くの人の目に留まります。さらに、医院のWebサイトを開設して常時開業を宣伝するとより効果的です。Webサイトは、スマートフォンやパソコンなどでどこからでも閲覧ができるため、人によっては両親・祖父母のために医院探しをするために利用することもあります。さまざまな可能性を考え、幅広い人に知ってもらえるような宣伝方法を工夫しましょう。

機器にお金をかけてもニーズに合わないと意味がない

開業にあたり、診察や治療に利用する医療機器はこだわりたいところですが、ニーズに合わなければ出番が少なくなり、余計な出費になってしまう可能性があります。 ただでさえ開業資金は賃料やスタッフの人件費などかさみがちです。開業当時は医療機器は頻繁に利用するもの、重要性の高いものを優先的にそろえましょう。

自身の強みを生かす

医院を開業するということは、その地域の人にとって頼れる存在が増えるということでもあります。 評判はすぐに広まりやすいため、患者さんに良い印象を持ってもらえる診察を行い、医院作りをすることが大切です。そこで重要なのが、自身の強みを生かすことです。専門医の資格がある診療科目をアピールするのも良いですし、患者さんと丁寧で綿密なコミュニケーションをとることができ、心を開いてもらえるなど、何か自分の売りとなる強みを生かして医院経営を行うと良いでしょう。 同時に自分の弱点もしっかり分析し、明確にすることによって今後の医院経営のコンセプトに生かすことをおすすめします。

開業医の失敗事例①スタッフとの食い違い

スタッフとの食い違いにより医院経営に失敗した事例もあるので注意が必要です。 開業医は、働きやすい環境を整え、スタッフの勤怠管理なども行わなくてはなりません。勤務医時代のように「言わなくてもわかるだろう」は通用せず、意見の食い違いが表面化したときにはすでに頼れるスタッフが辞めることを決めているというケースは少なくありません。 ささいなことでも、スタッフとは報告・連絡・相談を徹底しながら医院経営を行うという意識を忘れないようにしましょう。

開業医の失敗事例②短い準備期間

準備期間が短くて失敗するケースもあります。 開業する直前まで勤務医として働く場合、準備が大変な上に時間が十分にとれず、実際に開業してからさまざまなことがうまく回らないことが考えられます。開業したてで慣れないうえに、経営に対する知識が足りず、スタッフとの連係プレーができないという状況では医院経営はうまくいきません。開業を考えるなら、しっかりと準備期間を設けることをおすすめします。

開業医の失敗事例③自分でやらなくてはならない

開業医の場合、診療だけでなく医院経営も自分ひとりでやる必要があるため、苦労したり、失敗したりするケースもあります。 勤務医のころは他の医師と話し合い、意見を聞いて治療方針を決めるなどしていたでしょうが、開業すると医師が自分だけというケースも多いので勤務医時代と同じというわけにはいきません。 患者さんや患者さんのご家族、そして医師である自分が良くコミュニケーションをとって治療方針を判断することが求められます。開業医になるなら、経営力はもちろん必要ですが、やはり医師である以上治療についてもさらにさまざまな勉強をし、常にブラッシュアップしなくてはなりません。看護師やスタッフがいるものの、治療については自分で判断し、自分でやらなくてはならないというプレッシャーもあります。勤務医時代にしっかりと経験を積んでおくことは開業するにあたっても必須の条件です。

まとめ

開業をして経営をしていくにあたり、失敗するのではないかと心配になるものです。 思ったように患者さんがこない、売り上げが上がらない、機材の返済や賃料が支払えない、スタッフのトラブルなどさまざまな不安が生じるのは開業する際に必ず起こります。まずは医院経営に関する知識をつけてしっかりと準備を行うことが大切です。 もし開業準備で迷うことがあるなら、開業コンサルタントに相談してみるのもおすすめです。必要な準備期間をはじめ、何が必要なのかアドバイスしてもらえます。また、開業医は開業してそれで終わりではありません。患者さんに信頼され、診療を続けていける環境を作りながら、医院経営を継続していきましょう。

医院開業バンク編集部

編集部

医師の転職・採用支援に20年以上携わる医院開業バンク編集部が、開業に役立つ情報をお届けします。

一覧に戻る