コラム

2020.07.31

開業医が借金地獄に陥る場合があるのはなぜ?原因や開業前・開業後の注意点

目次

長年勤務医を続けている方の中には、開業を検討している方もいるでしょう。 開業医は勤務医よりも平均年収が高い傾向にありますが、様々な理由で借金地獄に陥ってしまうケースも少なくありません。 医院を開業する際には準備資金が必要になるので、融資を受けるなどして借金をするのも無理はありません。しかし、今後の収支を考えると借金が膨らむにつれて将来的な不安も増加していきます。 今回の記事では、開業医が借金まみれになる理由やそうならないための注意点について解説します。開業を検討中の方はぜひ参考にしてください。

開業医の年収はどれくらいか

開業医の平均年収は非常に大きな幅がありますが、上手く経営できているのであれば勤務医よりも高い年収が得られることが多いです。2017年に行われた厚生労働省の調査によると、開業医と勤務医の平均年収を比較した場合、勤務医の平均年収が約1,488万円だったのに対し、開業医の平均年収は約2,748万円でした。

あくまで平均年収ではありますが、開業医と勤務医の間には約2倍の年収差があることになります。勤務医の勤務先や開業医の診療科目によってはそれ以上に年収差が出ることもあるでしょう。

ちなみに、年収が高いと言われる弁護士の平均年収は約1,026万円で、税理士の平均年収は約717万円となっています。

ここまでの結果を見ると、開業医の平均年収がいかに高いかがわかります。ただし、これは成功している開業医の平均年収です。初年度から上手く対策していかないと、平均収入に遠く及ばないことも十分にあり得ます。

開業医が借金まみれになる原因

開業医は平均年収が高いとはいえ、場合によっては借金まみれになるというケースが多いことをご存知でしょうか。医師としてのキャリアだけでなく、ひとつの医院を経営するという覚悟がなければ開業医として成功するのは難しいことです。では、なぜ開業医が借金まみれになってしまうケースがあるのでしょうか。その理由としては、主に以下のようなものが挙げられます。

・マネジメントが上手くできていない
・開業資金をかけすぎて返済ができない
・患者のニーズとコンセプトが合っていない
・収支のバランスが取れていない

一つ一つの理由について、次項から解説していきます。

マネジメントが上手くできていない

開業医として成功するには、医師としての実力や経験だけあればいいというものではありません。 医院を開業し、うまく運営していくには、経営力はもちろん、宣伝力を備え、スタッフの管理といったマネジメントが行き届いている必要があります。

ホームページを開設したり広告宣伝を行ったりして多くの人に認知してもらわないとそもそも来院してもらえませんし、収入に繋がりません。また、スタッフのモチベーションを維持したりスタッフの採用基準をしっかり定めておくなどの労務管理をしたりして、患者さんが気持ちよく来院してくれるように環境を整えることが大切です。

このようなマネジメントが行き届かない医院は患者さんになかなか認知してもらえず、診療報酬が入らないため費用ばかりがかさんで借金まみれになりかねません。開業医として成功するためには、マネジメント要因が重要であることを認識しておきましょう。

開業資金をかけすぎて返済ができない

開業医が医院を開業するために必要な資金の一例として、以下のようなものがあります。

・テナント費用 約500万円
・内装工事費 約1,900万円
・医療機器 約1,500万円
・広告宣伝費 約200万円
・運転資金 約1,500万円

院長の意向次第で必要な資金はいくらでも変動しますが、予算以上の開業資金をかけてしまうと借金を重ねることになりかねません。開業資金をかけすぎないようにするためには、しっかりと時間をかけて現実的な事業計画を練る必要があります。

検討する際に、今どうしても必要な設備なのか、軌道に乗ってからでも遅くはないかなど計画を練って開業時に本当に必要なものとそうでないものを判別することが大切です。場合によっては自分が引退した後の事業承継等の問題も視野に入れておく必要があるケースもあります。

せっかく医院を開業しても、返済が滞って運営できなくなっては意味がありません。開業資金をかけすぎて借金の返済ができないということにならないよう、事業計画をしっかり練ることが重要です。

患者のニーズとコンセプトが合っていない

患者のニーズを読み取れないと患者さんが来ないので、診療報酬が入りません。 患者さん一人ひとりのニーズだけでなく、地域のニーズや診療科目の種類など、医院のあり方や方向性といったコンセプトをしっかり決めることも開業医として成功するために必須項目です。

医院のコンセプトを決める際には、患者さんのニーズを見極めて診療科目を決める、風邪などよくかかる病気に対応する内科を核としていくつかの診療科目に対応できるようにするなど、様々な決め方があります。ただし、患者さんを増やしたいからといってむやみに診療科目を増やすのはおすすめできません。専門外の科目を多く掲げていてはかえって患者さんに不安を与え、信用問題にかかわります。

また、クリニックのコンセプトは患者さんを安心させるためにもしっかり決めておく必要があります。コンセプトがわかりやすいと患者さんも安心して通いやすいからです。そこをしっかり決めておかないと、ミスマッチが起き、患者さんが来院しなくなってしまうので注意しましょう。

収支のバランスが取れていない

開業医の支出で多いのは、以下の通りです。

・人件費
・家賃
・医師会費
・医薬品の購入費用

基本的に利益が出やすいものは支出も大きくなりやすいので、節税などで収支のバランスを取る必要があります。収支のバランスを取るためには、本当に必要な支出なのかどうかよく検討し、場合によっては節税制度を利用するのがおすすめです。

特に支出はどうしても増えがちなので、今本当に必要な支出なのかを見直すだけでも大きな効果あります。また、税金対策を行うことで大幅な支出の減額に成功することも珍しくありません。

収支のバランスが取れていないけれどどのような方策を摂れば良いかわからないという場合は、医療専門のコンサルティング会社に相談すると良いでしょう。

借金まみれにならないための注意点

せっかく開業したのに借金まみれにならないために、事前にとれる対策を検討しておくなどしっかりとしたシミュレーションを行っておきましょう。ここでは、借金まみれにならないための注意点を解説します。

・開業前のシミュレーション
借金まみれにならないためには、開業前のシミュレーションは必須です。現状で開業したらどのような医院経営を行っていくことになるのか、そもそも開業する前にどんな準備が必要なのか、患者さんのニーズに応えるには何を用意すればよいのかなど、段階ごとに考えられるだけのシミュレーションを慎重に行うことが大切です。

・資産管理会社で節税する
資産を形成するにあたって有効的なのが資産管理会社で節税する方法です。個人で資産を運用するよりも、資産管理会社が資産を所有した上で運用する方が、節税対策として高い効果が期待できます。借金まみれにならないために賢く利用しましょう。

・患者さんのニーズを調べる
借金を重ねないためにも、自分が開業する医院を患者さんのニーズに合わせることが重要です。患者さんのニーズに合わない医院は、いくら最新の設備をそろえたとしても来院者を増やすことはできません。開業する際には患者さんのニーズをよく調べ、地域で頼られる医院を作るためのコンセプトづくりが非常に重要です。

まとめ

勤務医として働いている場合は安定した収入があますが、開業医として成功するためには様々なハードルがあります。開業医の平均年収は確かに高い傾向にありますが、ニーズやコンセプト、事業計画を見誤ると借金まみれになって閉院せざるを得ないケースは少なくありません。 開業を検討する場合はしっかりとした計画を立て、慎重に準備を進める必要があります。借金まみれにならないよう、開業前に対策をしっかり検討するようにしましょう。

医院開業バンク編集部

編集部

医師の転職・採用支援に20年以上携わる医院開業バンク編集部が、開業に役立つ情報をお届けします。

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