コラム

2021.08.23

開業医の経営が上手くいくためには|医師の開業が成功する方法、年収やメリット

目次

開業医を目指す医師の中には、これまでまったく経営について携わったことがなく、大きな不安を抱えている方も多いでしょう。 医療サービスの提供だけでなく幅広い知識が必要とされるため、開業を検討する方は準備を万全にしておく必要があります。 医院を経営していくにあたって気をつけるべき点や税金対策、開業後の注意点やメリット・デメリットなどを詳しく見てみましょう。

開業医のメリット・デメリット

医師を「開業医」と「勤務医」に分けたときに、 開業医と勤務医の違いは、自分で医院や病院を開いて経営するか、それともどこかの医療機関に勤めるかという点です。開業医は自分で医院を運営するため、収入については変動があるものの運営が軌道に乗れば大きく利益を出すことが見込めますし、一方で勤務医は勤続年数や立場のステップアップの可能性があります。

基本的にはこのような違いがある開業医と勤務医ですが、さらにそれぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。

開業医のメリット

まずは、開業医のメリットについて見てみましょう。

・「自分の医院」を持つことができる
・自由な働き方ができる
・収入の上限がない
・患者さんとしっかり向き合える

開業医の最大のメリットは自分の医院を持てるということです。 そのため、勤務医に比べて自分のスタイルで診療を行うことができ、患者さん一人ひとりとしっかり向き合うことができます。大きな病院に勤めていると患者さんの数も多く、自分が主治医でない患者さんの治療を行うといった場合もあります。

また、開業医は働く時間を自分で調節することができるなど、勤務医に比べて自由度の高い働き方が実現できるでしょう。

また、決められた報酬(給与)が支払われる勤務医と違い、開業医は収入の上限がないのが特徴です。もちろん、収入を上げるために患者さんが来てくれるよう、さまざまな努力をしなくてはなりませんが、自分のスタイルを確立して収入を上げられるのは、開業医の大きなメリットだと言えるでしょう。

開業医のデメリット

続いては、開業医のデメリットについてです。

・多額のコストがかかる
・自身ですべてを決めなくてはならない

医院の開業にあたっては、飲食店のように居抜き物件を使ってコストを抑えるといったことが難しく、診療科目によって必要な機械なども違うため、高額なコストがかかるのが現実です。 また、医院を建てるための土地や建設費などの費用もかかるため、融資を受けて開業することが多いですが、返済のためには医院の運営において利益を出す必要があります。そのため、経営にも尽力し、すべて自分で決定していかなくてはなりません。

開業医の年収

開業医となる際に気になるのはやはり年収でしょう。 安定的な収入が得られる勤務医に比べて開業医の収入にはばらつきはあるものの、健康保険組合連合会の統計によると開業医の方が年収は多いことがわかります。

・平均年収
開業医(一般医院院長)…2,807万円
勤務医(一般病院医師)…1,491万円

開業にあたって抱えるコストが大きいなどのデメリットもありますが、開業医の年収平均は勤務医と比べて高くなっているのです。

開業医に必要なスキルとは

開業医に必要なスキルとして、まずは医院の運営を続けられるかどうかという経営力が必要です。 医療に関する知識が必須であることは医師として大前提ですが、開業医の場合は勤務医に比べ、経営力やマネジメント力など、自分で医院を経営をしていくためのスキルが必要となります。 また、融資を受けるために銀行とのやり取りが発生するので、資金繰りの相談や経営のサポートを受けるための交渉力も重要です。

また、どうすれば患者さんが自分の病院に来てくれるか、通い続けてくれるかを常に考え、来院しやすい医院づくりを行うために患者さんや地域との連携を図り、地域の「かかりつけ医」といった地位を確立するためのコミュニケーション力も必要と言えるでしょう。

開業医に向いている人

続いて、開業医に向いている人はどのような人なのかを見てみましょう。

・病院の方針を気にせず自分のやり方で医療サービスの提供をしたい人
・患者さんとじっくり向き合いたい人
・勤務医よりも多くの年収を得たいと思っている人
・診療だけでなく経営をしたい人

開業医は、勤務医のように勤め先の病院のルールに従って行動をする必要がありません。 たとえば、総合病院のように大きな病院であれば外来だけでなく当直や救急外来などの勤務もあり、自分の診療スタイルやライフスタイルを守ることはなかなかできないものです。 開業医であれば自分のやり方で医療サービスを提供することが可能です。

また、日々の時間が限られている勤務医と異なり、開業医の場合は時間の融通もききます。患者さん一人ひとりとじっくりと向き合うことができるので、患者さんに合わせた適切な診療・治療が可能となり、満足度を上げることもできるでしょう。 勤務医として少しずつステップアップしていくことも魅力がありますが、やはり自分の医院を持ち、経営を行っていきたいという人にも開業医は向いています。

開業医として成功する方法

開業医として成功するためには、医療サービスの提供だけでなく、さまざまなスキルが必要です。 どんなに腕の良い医師でも、患者さんやスタッフと適切なコミュニケーションをとれないと、医院を存続させていくのは難しいでしょう。開業医の場合、医師がひとりだけで運営を行うのではなく、看護師や受付・事務などのスタッフが一丸となる必要があります。 経営者として医院を成功させるには、スタッフをまとめていくマネジメントスキルを身につけ、患者さんのニーズを読み取って訪問診療などを取り入れるなど、多方面にわたる経営手腕を発揮することが重要です。

診療分野

開業するにあたって重要なのが診療分野です。 病院の診療科目には、内科・外科・皮膚科・小児科・産婦人科などさまざまなものがありますが、それぞれの診療分野によって開業のハードルや、開業後にどれくらい集客が見込めるかがまったく違ってきます。

たとえば、よく見かける「内科」の看板を掲げて開業するのと「内科・呼吸器科」と診療科目を増やして開業する場合では、後者の方がより幅広い患者さんのニーズを満たせると言えるでしょう。また、地域にあまりない診療分野で開業すれば集客が見込めますし、逆に病院が多い診療分野で開業すると過当競争が起こる可能性もあります。

また、診療分野によって開業に必要な機材がまったく違います。 たとえば精神科や心療内科は基本的にリハビリや手術が必要ないので、診察室・待合室・カウンセリングルームなどのスペースがあれば良いでしょう。一方、産科の場合は診察室のほか、内診を行うための内診台、手術室、出産に利用する分娩台やLDR、さらに入院スペースも必要となります。

さらに、診療科目によっては保険診療と自由診療の違いがあります。 保険診療は、社会保険や国民健康保険などの公的な医療制度を利用して、患者さんの負担を減らす仕組みを用いた診療方法です。一方、自由診療は治療費のすべてが患者さんの負担になりますが、美容整形や厚生労働省による承認が行われていない薬剤を利用することができます。経営面を考慮して、診療報酬が高額になりやすい自由診療の診療科目の導入を増やす医院もあるのです。

自分の専門分野と地域で必要とされている診療科目、また診療報酬の面も総合的に考えて診療科目を慎重に決める必要があります。

立地選び

開業をするにあたり悩むのが、どこで開業するかという立地選びです。 首都圏、地方、自分のふるさとで開業するなどさまざまなパターンが考えられますが、都道府県によって医院数が少ない場所は必然的に需要が高いと考えられます。厚生労働省の調査によると、主要な都道府県別の病院数、10万人あたりの病院数は以下の通りです。

【都道府県別にみた施設数と10万対施設数】
・東京都…647か所(10万人当たり4.7か所)
・北海道…561か所(10万人当たり10.5か所)
・愛知県…324か所(10万人当たり4.3か所)
・大阪府…521か所(10万人当たり5.9か所)
・広島県…242か所(10万人当たり8.6か所)
・福岡県…462か所(10万人当たり9.0か所)

首都圏ではなく地方であればそれだけ土地代などの初期費用を安く抑えることができます。ただし、周囲に同じ診療分野の医院があれば集客競争が起こりますし、すでに大きな信頼を集めている医院が地域にあれば、開業の高いハードルとなるでしょう。そのような要因をしっかり考慮したうえで、どこに開業するのが良いのか立地を決める必要があります。

人材確保と教育

開業医の場合、経営者として人材確保や教育を行っていく必要があります。 診療だけでなく人材育成にも力を入れる必要があるため、教育スキルも重要です。まずは医師として信頼を得ること、労働環境管理を適切に行うこと、そして、自分が思い描く医院の形をスタッフに共有してもらうことが大切と言えるでしょう。

受付や看護師などのスタッフを確保するにあたっては、いきなり大人数を雇うのではなく、開業後にペースを見ながら調整する必要があります。 長く働いてもらうためにも適切な勤務管理を行うほか、自分や患者さんとコミュニケーションがとれる人材かどうかも重視しましょう。

宣伝方法を工夫する

開院するにあたって宣伝は非常に重要です。 地域に根ざした医院となるためには、まずは地域の方に知ってもらうことが必要だと言えるでしょう。そのために利用したいのが宣伝媒体ですが、多くの場合、地域のフリーペーパーやWebサイト、新聞の折り込みチラシなどが利用されています。 さまざまな宣伝媒体がありますが、ひとつに決め打ちするのではなく、複数利用することをおすすめします。フリーペーパー等で広く周知してもらうことに加え、病院のWebサイトを作っておくなどしてより興味・関心を持ってもらうことが大切です。

法人として収入を得て節税する

医師が個人で開業して医院経営を行う際に大きく関わってくるのが税金の問題です。 医師の収入は一般的にサラリーマン等より高く、特に開業医は勤務医よりさらに収入が高くなる傾向にあるため、必然的に税金も高くなると言えるでしょう。

そこで検討したいのが「法人化」です。 国税庁によると、個人の場合、住民税・所得税は1,800万円を超えると40%の税率、4,000万円を超えると45%もの税率となります。収入が上がれば上がるほど課税率が高くなりますが、医療法人の場合は800万円を超えると23.2%となり、かなり税率が低くなるのです。 また、法人化すると収入を給与や役員報酬として受け取ることができ、給与所得控除を受けられるので節税になります。ある程度個人で経営して軌道に乗り、収入が増えてきたら法人化の検討をすると良いでしょう。

開業後に経営難に陥らないための注意点

次に、開業後に経営難に陥らないための注意点について見てみましょう。

・開業資金をかけ過ぎない
・安易に人を雇い過ぎない
・スタッフを大切にする

勤務医より開業医の平均年収が多いとはいえ、開業してすぐに軌道に乗るとは限りません。 患者さんがかかりつけ医として選んでくれ、定着するまでにはそれなりに時間がかかります。そのため、開業時に最新設備をすべてそろえたり、立地を重視し過ぎて高額な賃料を支払ったりする状態だと長続きしません。必要以上に開業資金をかけ過ぎないことも大切なことです。

また、同じように開業時にあまり多くのスタッフを雇い過ぎないことも重要です。診療分野によりますが、たとえば内科なら、花粉症やインフルエンザなど季節性の病気が流行る時期はいわゆる繁忙期で患者さんが増えますが、夏の間はさほど病気が流行らず患者さんが減ることも考えられます。 もし最初から常勤のスタッフを多く雇いすぎていると、人件費がかさんでしまい、経営を圧迫することになりかねません。開業時には最低限のスタッフをそろえ、その後少しずつ様子を見ながらシフトを組める程度のスタッフを雇うなどの調整をすることも必要です。人件費は経費の中でも多くの部分を占めるので、安易に人を雇い過ぎないことも医院経営では必要だということを念頭に置いておきましょう。

一度雇ったスタッフには長く続けて働いてもらえた方が医院経営上も効率が良いでしょう。したがって、スタッフに対して高圧的な態度を取ったり、パワハラともとれるような言動をしたりせず、意見を聞きながら気持ちよく働いてもらえる環境作りに努めることも大切なことです。

開業コンサルタントに依頼するメリット

費用の節約や経営についてアドバイスをしてくれるのが開業コンサルタントです。 開業コンサルタントに依頼をするメリットは多く、たとえばこれまでに経営をした経験がない場合に、開業に最適な場所探しや患者さんを集めるための方法などを提案してくれます。

これまで勤務医だった場合、医療に関する知識はあっても経営に関する知識が乏しいケースが多いでしょう。そこをカバーし、適切な経営をするためのサポートをしてくれるのが開業コンサルタントです。 たとえば、銀行の融資をスムーズに受けるためのコツや宣伝方法など、開業にあたってなかなか自分自身では具体的にイメージしにくいことをアドバイスしてくれるほか、開業後も引き続きサポートをしてくれるため、開業コンサルタントに相談することには多くのメリットがあると言えるのです。

まとめ

これまでとは違う環境で働くことはどんな職業でも大変ですが、特に自身で医療サービスの提供だけでなく経営も行う開業医は、非常に大きな責任を負っていくことになります。 しかし、開業医として独立すれば、自分が理想とする働き方を実現できるほか、勤務医にはない学びや収入アップも見込めるため、開業医を目指す方は多いです。開業医として成功するためには経営手腕も必要になるので、これまで経営に携わったことがない方は、開業コンサルタントに相談したり、他の開業医にも意見を聞いたりするなどして情報を集め、検討することをおすすめします。

医院開業バンク編集部

編集部

医師の転職・採用支援に20年以上携わる医院開業バンク編集部が、開業に役立つ情報をお届けします。

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