コラム

2020.07.14

開業医が今後対応すべき顕在的課題

目次

これまで、電子カルテに関する内容を中心にご案内させて頂きました。 今回は、”今後対応すべき顕在的課題”として、2030年、2040年を見据えた課題についてご案内させて頂きます。

開業後5年~20年間の見通し

日本は、既に超高齢社会に突入していますが、2025年に団塊の世代 約2,200万人(国民の4人に1人)が75歳以上となり、健康寿命延伸プラン等により日本の総人口は長期的に減少してゆく中、高齢者人口は増加を続け、2040年頃まで増加する事が推計されています。

これから開業なされる先生の、開業後5年~20年間の見通しが発表されておりますので、ご案内させて頂きます。

(1)外来患者数と介護利用者数について(※1)
・外来患者数は、2025年度(787万人)から2040年度には(731万人)と、約50万人の需要が低下
・介護利用者数は、2025年度(585万人)から2040年度には(682万人)と、約100万人の需要が増加、特に、在宅介護の需要(約50万人増加)が予測されております。

(2)医療福祉分野における就業者人数について(※1)
・2025年度(医療 316万人・介護 392万人)に対し、2040年度(医療 309万人・介護 461万人)介護利用者増加に伴い、医療就業者は減少、介護就業者の大幅増加が予測されております。

(3)医療介護費について(※2)
・医療費、2025年度(54.9兆円)2040年度(76.3兆円) 増加率:138%
・介護費、2025年度(16.4兆円)2040年度(27.6兆円) 増加率:168%
・医療介護費、2025年度(71.3兆円)2040年度(103.9兆円)増加率:145%

かかりつけ医機能に関する国民からの要望

また、かかりつけ医機能に関する国民からの要望(※3)として、下記のような声が上がっております。

<医師・患者関係に関して>

・近隣にあり、人的にコミュニケーションよくとれる医師がほしい(50代・男性)
・総合的に診療出来る医師が増える事を望む(20代・女性)
・病状の説明をもう少していねいに教えて欲しい(30代・女性)
・人の方を見ないでパソコンばかりを見ているし、パソコンに向いて対話する(70代・男性)
・診断の結果で今は大丈夫だとしても今後気をつけること等のアドバイスが欲しい(30代・女性)
・健康について総体的な相談ができるとよいと思う(50代・女性)

<医療体制に関して>

・入院や手術などのあとに、その病院と連携してフォローすること(40代・男性)
・大きい病院を紹介してくれる(男性・70代)
・子どもがいます。小児科の夜間休日診療対応(30代・男性)
・夜間休日や休診日の緊急時に連携が取れれば良い(70代・女性)
・終末期でも在宅医療が一人暮らしでも可能であるようにして欲しい(60代・女性)
・往診して欲しい(60代・女性)

忙しい中、どうやって在宅診療を取り入れるか

将来の見通しと、患者様の要望内容より、外来診療の充実に加え、在宅診療の対応を早期に進める必要があると感じて頂けると思います。ただ、多忙な先生方がどの様にすれば、在宅診療を取り入れる事ができるか検討してみました。

(1)タスクシフティング(業務の移管)、タスクシェアリング(業務の共同化)の推進

・タスクシフティング(業務の移管)
先生は、「診断、治療、手術」、看護師は、「看護」といった中心業務に専念し、その他の業務を、先生は看護師や、その他医療従事者へ、看護師は看護補助者や事務スタッフへ移管する事の検討をされてみてはいかがでしょうか。 また、定型的な業務は、AIやロボティック・プロセス・オートメーション(以下、RPA)を活用する事でタスクシフトをさらに推進する事が可能となります。

RPAの導入事例をご紹介します。

Aクリニック(仮称)では、検体検査の採血結果を電子カルテに登録する作業を手作業で続けていましたが、繁忙期になると作業が滞り、電子カルテに最新データが反映できていませんでした。次第に放置されるようになってしまったこの状況は、RPAロボットを導入する事により改善されました。ロボットが検査データを定期的に確認し、自動的に電子カルテにデータ登録をしてくれるようになったため、“人手を掛けず業務を行えるようになった”のです。

・タスクシェアリング(業務の共同化)
患者様のご理解、同意を頂いた下で行う必要がありますが、「複数主治医制」や「非常勤医の活用によるシフト制」の検討や、地域の「かかりつけ医」等との連携も有効な方法となります。

(2)オンライン診療の活用

オンライン診療は、先生と患者様が約束した時間に対応でき、移動時間も削減する事ができますので、ワークライフバランス向上にも貢献します。また、ホームモニターを活用すると、対面では得られない患者様の家庭での様子をリモート状況から把握する事も可能になり、在宅医療を受診される患者様やその家族は、必要な時に先生や多職種と“つながる”ことができ、より深い安心感を持っていただく事が期待されます。

(3)健康管理におけるICT(PHR:Personal Health Record)の活用

我が国のPHR に関する取組としては、平成29年度から予防接種情報のマイナポータルでの提供が開始されており、令和2年度からは特定健診、乳幼児健診等、令和3年度から薬剤情報について、マイナポータルを通じた提供が予定されています。

これらを通じて予防、健康づくりの推進等が期待され、「生まれてから学校、職場など生涯にわたる健診・検診情報の予防等への分析・活用を進めるため、マイナポータルを活用するPHRとの関係も含めて対応を整理し、健診・検診情報を2022 年度を目途に標準化された形でデジタル化し蓄積する方策をも含め、2020 年夏までに工程化する」こととされています。(※4)

実際の診療現場での運用まで、もうしばらくかかりそうですが、PHRが実現化された際のメリットとして想定される事をご紹介させて頂きます。

・生活習慣病で定期通院している患者様が、ウェアラブル活動量計や、スポーツジムでの運動記録を提供することで、生活習慣アドバイスや、運動量の増加提案など、きめ細かな提案を先生から受けられる。
・他の医療機関が処方した薬の履歴を確認することで、医薬品の重複投与の防止につながる。
・病院から近隣の診療所へ転院する際、診療情報提供の付帯データとして役立つ。
・個人がデータ参照することで、日常の健康管理にも役立てられる。

まとめ

電子カルテの導入が進む事より診療データが電子化され、またその電子化が進む事により医療情報連携が実現されるようになります。将来の予測に対しポジティブに取り組む事で、患者様の満足度を高め、経営の効率化を図る事が可能になります。地域の患者様と末永くお付き合い頂ける診療所にIT化、ICT化を積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。


※1 厚生労働省:「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」に基づくマンパワーのシミュレーションより
※2 内閣官房・内閣府・財務省・厚生労働省「2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(平成30年5月21日)に対応した国民医療費の将来見通しより
※3 日本の医療のグランドデザイン2030 日本医師会総合政策研究機構 P313、「1,200人中263人からの要望(抜粋)」より
※4 厚生労働省:国民の健康づくりに向けたPHR の推進に関する検討会(第2回)資料より抜粋

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