コラム

2020.07.14

電子カルテを安全に運用するために知っておきたいこと

目次

これまでに、”令和の電子カルテ状況とカルテ検討のポイント”と”電子カルテをより効率的に運用するために検討したい院内システム”についてご案内させて頂きましたが、今回は、“電子カルテを安全に運用するために知っておきたいこと” について、ご案内させて頂きます。

電子カルテを安全に運用するために知っておきたいこと

勤務医時代、多くの先生は”利用者”として電子カルテを利用されていると思いますが、開業後は”管理者”として、電子カルテと向き合う事が必要となります。

電子カルテに関連する主なガイドラインは、厚生労働省より発表されている「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版 ※1」になります。このガイドラインは、

(1)法令等により求められる要件を満たすための実行指針
(2)医療に関わる情報を医療機関等の資産と捉え、医療に関わる情報「情報資産」を継続的に保護していくためのプロセスに関する手引書

という2つの性格を有しており、詳細な解説が加えられてますので非常に重厚な内容となっておりますが、ポイントを要約した「医療情報システムを安全に管理するために(第2版)※2」が発表されておりますので、双方を上手に活用して理解を深めて頂くと宜しいかと思います。

電子保存の三原則

「医療情報システムを安全に管理するために(第2版)」より、「電子保存の三原則」について少し、ご案内させて頂きます。

「電子保存の三原則」について

従来は、紙媒体による管理が義務付けられていた診療録等ですが、平成11年に通知された「診療録等の電子媒体による保存について ※3」により 「電子保存」が認められ、電子カルテが普及し始めました。

この通知では、医療情報システムの安全管理に加え、診療に供する情報を扱う医療固有の要求事項として、”真正性””見読性””保存性”の3つで構成される「電子保存の三原則」を確保しなければならない事とされております。

1、“真正性”の確保について

「真正性とは、正当な人が記録・確認を行った情報について、第三者にとって作成の責任の所在が明確であり、かつ、故意又は過失による虚偽入力・書換え・消去・混同が防止されていることである。」とされており、各種のデータに対して、「作成の責任の所在及び記録の確定方法の明確化」、虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止した、「情報の完全性を確保する必要」があるとされております。

2、“見読性”の確保について

『見読性とは、電子媒体に保存された内容を、要求に基づき、必要に応じて肉眼で読み取れる状態にすることができることである。見読性とは、本来「診療に用いるため支障がないこと」 と 「監査等に差し支えないこと」を指し、この両方を満たすことがガイドラインで求められる実質的な見読性の確保である。」』とされており、必要な情報を必要なタイミングで情報の利用者に提供できない、又は記録時と異なる内容が表示されると医療の提供に重大な支障となるため、バックアップや冗長性の確保、システム全般の保護対策を通じて、診療に重大な支障を及ぼすことのない最低限の見読性を確保することが求められております。

3、“保存性”に確保について

「保存性とは、記録された情報が法令等で定められた期間にわたって“真正性を保ち”、“見読性が確保された状態”で保存されることをいう。」とされており、機器やソフトウェアの障害発生時の対策、コンピュータウイルスや不正なソフトウェア、設備・記録媒体の不適切な管理による情報喪失リスクへの対策など、技術面、運用面双方での対策を講じる事が求められております。

これらの「電子保存の三原則」は、電子カルテの採用検討される上で、重要視されるポイントではないと思われますが、電子カルテを導入する際、“運用管理規定”、“監査時チェック項目”を作成しなければなりませんので、各メーカーの対応詳細、障害発生時の応急対応、復旧手順、サポート対応範囲の確認も忘れずに行ってください。

保険医療機関等の指導・監査等の状況

次に、保険医療機関等の指導・監査等の状況について、ご案内させて頂きます。

「保険医、保険医療機関として保険診療、保険請求を行うには、健康保険法等の各種関係法令に基づく必要がある。従って、これらの関係法令を知らないことは、行政処分を免れる理由にはならない。」

少し厳しい表現に感じますが、厚生労働省保険局医療課医療指導監査室作成、「保険診療の理解のために ※4」の冒頭に示されている通り、保険診療はルールを熟知した上で行う必要があります。

ただ、初めから保険診療のルールを完全に熟知する事は難しいと思われますので、「保険診療確認事項リスト ※5」を活用頂いたり、過去の指摘事項は、「特定共同指導・共同指導における指摘事項 ※6」等で公開されております。

「保険医療機関等の指導・監査等の実施状況 ※7」では、保険医療機関等の指定取消、返還に関する情報が記載されておりますので、“知らない事が良くない事に繋がらないよう”、事前対策を頂くと宜しいかと思います。

平成30年度の特定共同指導・共同指導(医科)における主な指摘事項

最後に、平成30年度の特定共同指導・共同指導(医科)における主な指摘事項を少しご案内させて頂きます。

<医療情報システム関連>
○医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版関連
・職種ごとのアクセス権限の範囲設定が不適切である。
・端末から離席する際、他の者による入力ができないよう、クリアスクリーン等による防止策が講じられていない。

<診療関連>
○診療録等
・医師による日々の診療内容の記載が極めて乏しい。

○傷病名
・医学的な診断根拠のない「レセプト病名」を付与している。
(必要に応じて摘要欄の記載、症状詳記の記載を行うこと。)
・傷病名を適切に整理していない。
(重複して付与している等。)

<医学管理等>
・治療計画、指導内容の要点等の必要記載事項を診療録に記載していない。
(特定疾患療養管理料、特定薬剤治療管理料、悪性腫瘍特異物質治療管理料…等)

<検査・画像診断・病理診断>
・必要性の乏しい検査を実施している。
・段階を踏んでいない検査:(例)尿中一般物質定性半定量検査もしくは尿中特殊物質定性定量検査において異常所見が認められた場合、又は診察の結果から実施の必要があると考えられる場合ではないにもかかわらず、尿沈渣(鏡検法又はフローサイトメトリー法)を実施している。

<リハビリテーション>
・開始時又は3か月毎の実施計画の説明の要点を診療録に記載していない。
・訓練の開始時刻及び終了時刻の記載が画一的である。
・疾患別リハビリテーションについて、医学的に最も適当な区分とは考えられない区分で算定している。

<提示・届出関連>
・施設基準に関する事項の掲示が誤っている。
・明細書の発行状況に関する事項の掲示について、一部負担金等の支払いがない患者に関する記載がない。
・届出事項の変更が速やかに行われていない。(保険医の異動、施設基準届出の従事者等)

まとめ

診療、カルテ記載、請求、傷病名、に加え、ガイドラインに沿った電子カルテ運用、施設基準の届け出など、広範囲で注意すべき点があります。日々の診療に集中するためにも、予め確認、準備すべき事は確実に行い、管理者として院内意識統一、ルール徹底を図る事が極めて重要になります。

次回は、“今後対応すべき顕在的課題”について、ご案内させて頂きます。


※1 医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版
厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000166260.pdf)
※2 医療情報システムを安全に管理するために(第2版) 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」全ての医療機関等の管理者向け読本
厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000166270.pdf)
※3 診療録等の電子媒体による保存について
厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1104/h0423-1_10.html)
※4 保険診療の理解のために
厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/000544888.pdf)
※5 保険診療確認事項リスト
厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/dl/shidou_kansa_16.pdf)
※6 特定共同指導・共同指導における指摘事項
厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/000591258.pdf)
※7 保険医療機関等の指導・監査等の実施状況
厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000576299.pdf)

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