開業医の閉院事情|平均年齢は?従業員への対応はどうする? | 医院開業バンク

コラム

2023.10.16

開業医の閉院事情|平均年齢は?従業員への対応はどうする?

弊社へは開業のご相談は当然のことながら、さまざまなご事情で閉院をしたいとのご相談をいただくケースも多いです。閉院をお考えの医師の皆さまがおっしゃるのは「思っていたよりも色々やることがある」「簡単には閉院はできない」というご感想です。先生や患者様、スタッフの思いのつまったクリニックだからこそ、丁寧に、滞りなく閉院の作業・手続きを進めたいものです。当社では閉院に関するお手伝いも、開業・閉院を熟知したコンサルタントが親身に対応させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。

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開業医の閉院事情

開業医とはいえ生涯を通して自分の医院で働く人もいれば、年齢や健康面の問題から経営的な問題など、さまざまな理由から、やむを得ず閉院を検討する方もいます。医院を閉業する際は、医院開業時と同じようにしっかりと手順を踏んで手続きを行わなければいけません。

この記事では開業医が医院を閉業する理由や閉業の際に必要なことについて解説していきます。すでに閉院をお考えの方は、「医師のための閉院完全ガイド」をダウンロードしてご活用ください。

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開業医が閉院する理由

開業医が閉院する理由には以下の4つが挙げられます。

・自身が高齢化し、継承者がいない
・経営が悪化し存続が困難
・他の道に進む・転職する
・親族や第三者に相続・継承する

引退を検討するタイミングや、経営が厳しい状態が続いた際に、閉院を検討する人が多いようです。

続いてはそれぞれの理由について詳しく見ていきましょう。

自身が高齢になり、継承者がいない

開業医が高齢になった場合、引退を考え始める人も多いです。しかし、「継承者」がいなければ、医院を引き継いで経営する人がいなくなり、開業医である院長の引退に伴い医院も閉院をせざるを得ない状態となります。現在の医療業界では継承者不足が大きな問題となっています。さらに中小企業庁が発表している「事業承継ガイドライン」によると、日本の中小企業・小規模事業者の経営者の約4割が65歳以上といわれており、今後もあらゆる分野で継承者が求められるようになります。しかし、少子高齢化が進む日本では継承者となる若い世代の人員は少なくなる一方であり、今後は医療業界もその影響をより強く受けることになるでしょう。

経営悪化

医院の経営赤字が続くと、残念ながら医院を続けて経営することは厳しく、閉院を余儀なくされます。帝国データバンクによると、2019年の医療機関の倒産件数は45件と、2010年以降の10年間において最多件数となるなど、医院の倒産数は増えつつあります。

開業医は医師として働くだけでなく、医院の経営を担う身でもあるため、常日頃から「経営」という観点を持って業務を行わなくてはいけません。そのため、経営に関する知識がないまま医院開業に進んだ場合は、集患がままならない、設備投資に失敗して利益からは回収できていない、人材確保が上手くいっていないなどの経営面における問題から閉院を迫られるケースもあるでしょう。

他の道に進む・転職する

開業医としての将来が見出せないと感じた場合、他の職業への転職を検討する人もいるでしょう。医療以外の職種へ転職を希望する場合もあれば、開業医から勤務医に戻る、医院という職場を変えるなど、医師として別の形で仕事を続ける方法もあります。

例えば、両親の介護が必要となれば介護のために時間を確保したいところですが、開業医は1人で医院を回していることも多く、思うように休みが確保できないことも多いです。また、自身が体調を崩したり、大病にかかったりしたことをきっかけに医院の経営続行が厳しく、閉院を検討することもあります。

閉院する開業医の平均年齢

閉院する開業医の多くが「この年齢になったら閉院しよう」と明確なタイミングを設けてはいません。現在活躍する開業医全体の平均年齢は高齢化しており、70歳以上の開業医の割合も年々増えつつあります。中には「働けるうちは引退しない」という考えから、80代でも開業医を続けている医師もいます。

しかし、一般のサラリーマンの定年である60代から今後の生活や経営のことを考え、閉院や継承者探しをスタートする方も多いです。実際に閉院する開業医の中には、サラリーマンとは違い定年に関係なく働けるという利点を生かし、70代で閉院または引退をする方も多いです。

閉院で従業員はどうなる?

閉院するということは、開業医だけでなく従業員にも大きな影響をもたらすため、従業員のフォローは必須となります。

まず従業員は、実質「解雇」という扱いとなるため、医院側は閉院する30日前までには解雇予告を行わなければいけないと義務づけられています。解雇予告を行わない場合は、代わりとして解雇予告手当の支給が必要となり、均賃金の最低30日分またはそれ以上の金額を従業員に支払わなければいけません。また、閉院に伴う解雇となるため、開業医が従業員の次の勤務先を紹介、提案することも必要です。これらの対応を行うためにも、閉院を決めたらなるべく早めに従業員に伝え、閉院日までに手続きを進めていきましょう。

ただし、正式に閉院が決まっていない段階で従業員に話を共有することは、ただ不安を煽るだけとなり、従業員の退職が相次ぐなど閉院予定日までの経営までも厳しくなる可能性があるため、閉院の旨を伝えるタイミングもしっかりと考えましょう。

閉院の手続き方法

閉院の手続き方法

閉院する際は、医院開業時と同じくさまざまな手続きが必要となります。

閉院の手続き方法は大きく以下の4つに分けられます。

・閉院までのスケジュールを立てる
・資料の保管方法を検討する
・資産や負債を整理する
・各種機関へ必要書類を提出する

はじめに、閉院までのスケジュールを綿密に立てて手続きを順次行うことが大切です。特に患者さまの資料の取り扱いや保管方法をどうするかが重要となります。医療機関ではカルテは5年、X線フィルムは3年と、患者さまの資料を保管することが義務づけられています。

さらに閉院にあたり、医院の資産や負債の整理を行い、診療報酬の未払い分の回収や、医療機器やイスやソファーなどの消耗品の売却なども進めていかなければいけません。各種機関への申請では必要書類を記入し、医院のある市役所や区役所といった専門機関に届け出を行います。金融機関の融資を受けている場合は、融資額を返却しなければいけません。多額の金額となる可能性もあるため、事前にしっかり相談・確認をしましょう。

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閉院までのスケジュール

>閉院までのスケジュール

閉院する際は、以下のスケジュールで進めていくことになります。

1.クリニック閉鎖のお知らせを病院内に告知
2.従業員や通常患者の他院への紹介状を用意する
3.テナントの契約解除
4.各種機関への申請
5.医院の片付け、清掃
6.土地・建物の処理

医院を急に閉院するというのは非常に難しいため、閉院予定日の数か月前から患者さまがわかるように閉院の告知をし、長期的な治療の受け入れをストップしなければいけません。また、解雇となる従業員の次の勤務先の紹介はもちろん、患者さまへ他院を紹介することも忘れずに行いましょう。

テナントを借りている場合は、契約解除申請を行わなければいけません。ただし、契約期間内の退去は別途退去費用が発生することがほとんどなので、契約満了期間を狙い、契約更新のタイミングで閉院・退去するのがベストです。また、開業手続きと同様に各公的機関へ必要書類の提出が求められます。閉院する際は、通常の廃業手続きに加え、診療所廃止届とX線廃止届は保健所へ、保険医療機関廃止届は地方厚生局へ、麻薬廃止届は医院のある各都道府県に提出が必要となります。書類の作成や提出には時間がかかるため、きちんと時間を割いて用意しましょう。また、それ以外でカルテの取り扱いについても事前に決めておく必要があります。個人情報が関わる部分なのでしっかりと対策を準備しておきましょう。クリニック継承時のカルテの取り扱いについては、医院開業バンクでも多くの物件情報を扱うメディカルプラス社の記事で詳しく解説されています。

参考記事:カルテ引継ぎは個人情報保護法違反!?医院継承時のカルテの取り扱いと個人情報保護法について

まとめ

まとめ

開業医として働く上で、さまざまな理由から思ってもみないタイミングで閉院を強いられることもあります。しかし、せっかく開業した医院だからこそ閉院を避けたいと考える開業医も多いと思います。経営による閉院を避けるには、開業時から経営を考えた取り組みを行うことで回避できる可能性があります。医師としての知識や経験だけではカバーできない分野だからこそ、閉院となる要素を1つでも削減したいという方は、開業支援や専門コンサルタントの力を借りて、開業時から将来の経営悪化防止に努めることも検討してみてはいかがでしょうか。

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